ものもらい
「もののもらい」ができたと受診する人が毎日、何人もいます。ほとんどの人は
「ものもらい」は病名だと思っています。ものもらいとは素人用語で、長野県の
方言です。地方によってめこじき、めっぱち、などと言います。瞼が赤くなっ
て腫れあがると「のもらい」 と思う人がほとんどです。皆さんがものもらい
と自己診断しているなかには、いろいろな病気が含まれています。正しい診断
名を伝えると「ものもらいではないのですか」と聞きなおされることがあります。
中には自分の診断名と違うので不満そうにする人がいます。ものもらいは病名
でないことを知ってください。
@ ものもらいはどような病気なのですか
瞼が赤く腫れあがる状態をものもらいということが多いようです。霰粒腫
(さんりゅうしゅ)と麦粒腫(ばくりゅうしゅ)のことがほとんどです。
なかにはアレルギーや結膜炎やごみが入って瞼がはれているのも、ものもら
いだと言って受診する人もいます。ものもらいとは俗語なので、どの病気が
ものもらいであると医学的に分類することはできません
患者さんはひとそれぞれ「ものもらい」の診断基準をもっているようです。
A 別の病名を言われると不満そうにする人がいますが
あまりにもよく使われる言葉なので、皆さんそれぞれが「ものもらい」と診断
してから来院することが多いです。私が正式な病名を伝えると不満そうにす
る人がいます。
あくまでも、ものもらいは病気の名前でないことを知ってください。
霰粒腫 麦粒腫
B ものもらいと言われるのは主に次の病気です
霰粒腫 瞼の縁にはマイボーム腺という涙の成分を分泌する腺があります。この
腺のひとつが詰まってその中に粥状の分泌物がたまった状態です。急に大き
くなると赤くはれ上がったり痛みを起こすこともあります。切開して中身を
だすこともあります。小さくならないときは、手術で摘出します。取らない
で残しておいても、害はないことがおおいので、そのままにしている人もい
ます。
※ よく似たもので癌であることがあります。老人でこのようなものができた
時は注意する必要があります。
麦粒腫 瞼には涙や汗の分泌腺や毛孔があります。その小さな孔から細菌が感染
したものです。瞼の一部が赤く腫れて、ずきずきと痛みます。時には頭ま
で痛くなることもあります。細菌は、自分の皮膚についているものですの
で、人から移ったとか人に移るということはありません。黄色く膿んだと
きは切開して膿を出すこともあります。
C 眼帯はしないのですか
今井眼科の周りでは眼帯の人を見かけることはほとんどありません。私は、眼帯
は不潔なので、できるだけ使わないようにしています。眼帯をしている人のほと
んどが、汚い手のままで眼帯をはずして、点眼してまたガーゼも交換しないで眼
帯を着けています。
正しく使わないとかえって不潔になってしまいます。
みっともなくて気になるようでしたら、人前に出るときだけ眼帯をします。
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