緑内障と内科の薬
風邪をひいて内科を受診したところ、緑内障があるので処方できない薬があるとい
われました。 精神安定剤は緑内障の人に悪いと聞きました。
薬局で薬をもらったところ、説明書に緑内障の人には使わないように書いてありま
した。胃腸の検査を受けようとしたら、緑内障の人には使えない注射があるといわ
れました。
緑内障で受診している患者さんは内科や薬局でこのような説明を受けることがあり
ます。薬の説明書にも、眼圧が上がるなら中止とか、緑内障の患者には禁忌とかあ
ります。
@ これらの薬はなぜ緑内障の人に使ってはいけないのでしょうか
これらの薬は瞳を開く作用があり、急性閉塞隅角緑内
障の発作をおこす可能性があるためです。
左の図は閉塞隅角緑内障の状態です。赤の○印のとこ
ろで水の流れが悪くなり眼圧が上がります。
A どのような人が危険なのですか
虹彩が前のほうにきて角膜と虹彩の間隔の狭い人が
危険です。遠視などで眼球が小さい人や、中年以降
の女性に多いです。
B 開放隅角緑内障の人は心配ないですか
開放隅角緑内障では、瞳を開いても緑内障の発作を起すことはありません。これ
らの薬を使っても心配ありません。緑内障のほとんどは開放隅角緑内障です。
ただ、ステロイドという薬で眼圧があがることがありますので注意が必要です
C 閉塞隅角緑内障の人も心配ない
眼科を受診して、閉塞隅角緑内障の診断を受けている人は、発作がおきないよう
レーザー光線で治療をしてありますので、これらの薬を使っても問題ありません
(下の図)
ただコントロールの悪い人では注意が必要なので眼科で安全か聞いてください。
D 眼科を受診している人は心配ない
白内障などのほかの病気で通院している人
は、
緑内障の発作がおきそうな目かわかります。
発作がおきそうなときには予防的にレーザ
ーで瞳に孔をあけます。左の図のようにレ
ーザー光線で瞳に孔をあけます。孔が開く
と右のように水が流れます。
E 自分は正常だと思っている人が危険
緑内障の発作が起きる前には、何も症状がありません。眼科を受診したこともな
く正常だと思っている人に発作がおきることがあります。
F 薬の説明書はどんな意味があるのですか
緑内障とわかっている人は眼科で治療していて発作がおきる心配がないわけです。
正常だと思っている人が危険なわけですから、緑内障に禁忌という説明書はまっ
たく役に立ちません。
G 正しくはどのように説明されるべきでしょうか
この薬を使うと瞳を開く副作用があり、ごくまれに緑内障の急性発作をおこしま
す。内服や注射後に目の充血が起き、目が痛くなり、見えにくくなったら眼科を
受診してください。特に、いままで眼科で検査したことのない中年以降の女性に
は注意が必要です。眼科で緑内障の治療をうけている人は心配ありませんが、念
のため眼科医に相談してください。
H 内科の先生にはどのように説明したらいいですか
必要であれば検査してお返事を書きます。またこの新聞を読んでいただいて
もいいかと思います。