糖尿病と目の異常


治療しているのに見えるようになりません 

「内科の先生は糖尿病は良くなったといいます。目のほうは良くなってこないのですが」
「まじめに治療しているのに悪くなってきます。」「光凝固してもらったのに良く見えてき
ません。」「以前、光凝固をしたのにまた追加が必要だといわれました。」 「このまま失
明してしまうのでしょうか。」



崖崩れを例にとって説明します  

切り立ったが崖があります。大雨が降りつづきます。はじ
めは何の変化も無いのですが、あるとき崖が崩れてきます
途中で雨が止みます。しかし、崩れかけた崖からはボロボ
ロと土砂が落ちてきます。コンクリートで補強するのですが
崩れかけた崖は雨が降らなくてもちょっとしたことで崩れて
きます。ましてやまた雨が降るとどんどん崩れてきます。
家が土砂で埋もれるとブルドーザーで取り除きますが家
                   ぶれているかもしれません。
崖の下にある家に住んでいる人は、崖の定期検査とコンクリートによる補強をして大雨
が降らないように祈り続けることになります。

(切り立った崖は眼底の毛細血管、雨は高血糖、コンクリートは光凝固、下にある
     家は視力、住んでいる人は患者さん ブルドーザーは硝子体手術、祈りは内
      科の治療というふうに置き換えてください)


視力がいいので大丈夫と思っていました

網膜症がかなり進んでいると言われました、検診では視力がよ
かったので
すが

    視力まったく目安になりません


糖尿病性網膜症は細い血管から始まります。つまり眼底の周
辺部から異常がおきます。視力というのは眼底の中心部の針の
先くらいのところが正常ならば1.2見えます。視力に影響がでてくるということは、その中
心部にまで病気が及んだか、大出血や網膜剥離をおこしたかです。視力が悪くなった
と受診するときには、網膜症は進んで治療が必要なことがほとんどです。

糖尿病になったなら、視力がいいからとか、調子がいいからとか、見えないのは歳のせ
いだからと判断
しないで必ず眼科を受診してください。

血糖値がどのくらいなら危険なのですか
 糖尿病性網膜症は数年間の高血糖の結果起きてきますの
で、現在の
血糖値がいくつだから安全だということはできませ
ん。過去に高血糖が
続いていれば、現在の血糖値が100mg
であっても網膜症は始まってき
ます。一般には空腹時血糖値
が140mgを越えるようですと危険だとい
われています。

ヘモグロビンA1cてなんでしょうか
高血糖が続くと糖と蛋白が結合して糖タンパクがふえてきます。HbA1cも糖タンパクの
1種です。このHbA1cは酸素との親和力がつよく末梢組織の酸素欠乏をおこしてきま
す。つまり、
HbA1c高いと糖尿病性網膜症が進行しやすいことになります。また、血
糖値のように食事などにすぐに影
響されることがないため、最近23ヶ月の糖尿病のコ
ントロールを反映しています。

値が
7をこえると心配で、8を超えると危険です


糖尿病になったこと自体が危険なことなのです。必ず眼科を受診して定期的な眼底の
検査を受けるこ
とが必要です。受診の間隔は眼科医が眼底所見を診ながら決めてい
きます。また、眼底の細かい所見は眼底写真ではわからないことがありますので検診
で眼底写真を撮っているから心配ないとは思わないで下さい。


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