当院の斜視手術 2025.4
斜視の手術は何十年も前から変わっていません。ほとんどの施設で次のような手順でやっています。
① 手術前に斜視の角度を検査して、手術の量を決めます。
② 術前に決めた通りに手術します。
③ 術後に過不足が出たら、プリズム眼鏡で補うか、様子を見て追加の手術をします。
④ 最近、手術の翌日に縫合した糸を微調整する方法をやっている施設もあります
ずっと疑問に思っていました
眼球の大きさは人によって違う。術中に観察すると、眼筋の付着している場所は個人差があり、眼筋の巾
や厚さは人によって違う。斜視のタイプも違う。具合の悪さも個人差がある。
それなのに手術前の定量のまま手術して終了していいのだろうか。
当院での手術法は次を目標にしています
① 手術終了時に目の位置のズレがないようにする。
② 手術終了時に複視がないようにする、これは必須です。
①
斜視の角度で、手術を前後転(外直筋の短縮+内直筋の後転)にするか、内直筋の後転だけに
するか決めます。
② 麻酔は、目を動かして検査できるように、筋肉の付着部
③ 手術の方法 左目の前後転法について説明します (後転だけなら3からです)
1, 外直筋の短縮(図1番目)
赤く囲んだ部分の筋肉を切り取り、前方に逢着します。
短縮は術前の定量の通りにします。切り取った部分は戻せません。
2
メガネのフレーム、レンズ、プリズムを滅菌しておきます。
レンズを入れて見えるようにして目の位置の測定をします。
3, 測定した値を元に、内直筋を後ろに下げます。(後転)(図2番目)
4, 再度、ベッドを起こして目の位置を調べます。
過不足があれば後転した糸を通し直します。ほとんどが1.0 mm以内の調整です。
5,
判断しやすいように片目に赤いフィルターを使います。遠方の複視を気にしていた人
は手術室のドアを開けて外を見てもらいます。この時点で複視があれば、再度、
微調整します。
この方法で手術すると、術後の複視もなく、外見も満足いくことが多いです。特に、複視を訴え
る人、プリズム眼鏡で複視は無くなるがすっきり見えない人はこの方法を勧めます。
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