おすすめしてもいい多焦点眼内レンズ 2024.8
ネットやマスコミで多焦点眼内レンズの宣伝を見て迷っている人もいます。私は、術後に具合
いの悪さを訴える人がいることから多焦点眼内レンズはお勧めしませんでした。
最近、やっと使ってもいいと思うレンズが出てきました。
多焦点レンズをおすすめしなかった理由
今までの多焦点眼内レンズは、光の回折現象(光が後ろに回り込むこと)を利用して、光をそれぞれ
の距離に振り分けています。そのために、光のエネルギーロスが生じてコントラスト感度(見え方の
質)が低下します。また回折現象を利用しているために、必ずグレアハローが生じます。(光の周り
に薄いリングが見えるのがハロー、スジ状の光が出るのをグレア)
写真は夜間の運転の時のグレアハローです。左は単焦点レンズ、右は多焦点レンズ
上図は多焦点レンズのうちで、性能がいいといわれている3焦点レンズです。メーカーのパンフレット
を見ると、術後にグレアハローで悩まされている人は11%います。
使ってもいいと思うのは、新しい発想の多焦点レンズ
焦点深度拡張型レンズといいます。原理は難しいですが、レンズの中心部を通る光の速度を遅くして
遠方から近方まで焦点を広げます。レンズの中心部で近くを見えやすくしていると理解してくださ
い。回折を使っていないのでグレアハローは発生しません。コントラストは多少悪くなります。
グレアハローのシミュレーション
それぞれの眼内レンズで光を見た時です。左から単焦点、焦点深度拡張型、3焦点、2焦点。
新しいタイプのレンズは単焦点と変わりないです。
どこまで使えるか
遠くが見えるようにしたときは、近くは50cmまで眼鏡なしで見えます。それより近くは老眼鏡
が必要です。車の運転からパソコンの画面を見るくらいなら眼鏡が不要と思ってください。
30cmまで眼鏡なしを希望するなら、多少の具合の悪さがあっても3焦点レンズになります。
費用は
多焦点眼内レンズは、選定医療となります。白内障の保険診療の費用の他に、レンズの代金は片目で
26万円が必要です。費用は医療機関、レンズの種類によって変わります。
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