野球と視機能 2023.4
WBCで日本が優勝し、日本中盛り上がっています。時速150km以上の速球を打ち返すのをみて、目の
どのような働きがそれを可能にしているのか調べてみました。
かつてイチローは
インパクトギリギリまで見えていると言っていました。長島茂雄はボールが止まってみえる いいました。
本当なのでしょうか。
静止視力(一般的な視力)は関係ある
球技では、静止視力(普段はかっている視力)は競技能力に影響があります。
野球では視力が1.0 → 0.5になると競技能力は40%以下になります。
動体視力は関係なさそう
前後、左右に動くものを見極める動体視力と競技能力の相関ははっきりしていません。
トップアスリートのなかにも動体視力が一般人以下の人もいるようです。
眼前に迫ってくるボールの軌道を予想をたててバットを振っている
野球の一流選手の速球は150kmを超えます。投手からホームベースまで18.4mあり。0.4から0.5秒で届きます。
プロでもホームベースの手前1.6mからボールが見えていません。目の動きだけで球を追うことはできません。
球が見えたという刺激が脳に伝わるのにも時間がかかります。球が見えたと意識した時には実際のボールは先を
進んでいます
ボール軌道は次の働きで予想を立てています
1, 投球の動作から最初の球筋(緑の線)は普通に物を追いかける働き(滑動性眼球運動)で見ています
2, 目はボールを追いきれないので、最初の球筋を見た後、ボールから目を離し、予測して将来のボールの
位置に視線を移します。この視線の移動は跳動性眼球運動といい、本を読んでいて次の行に視線を移す
ときに使われています
3, プロでも当たる瞬間はボールが見えていません。当たる瞬間が見えると感じるのは、脳が作り出した
想像上のボールです。赤い線が脳が作りだしたボールの軌道で見えていません。
野球では投手の投げたボールの軌道を脳内で創造しながらバットを振っています解説者が、「同じフォーム、
同じ手の振りで、速球と変化球を投げ分けているので打ちにくい」と言っているのは、打者が最初の球筋で判
断しているからです。手元に来て大きく変化する球が打てないのもこのためです。
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