抗原検査・PCR検査の違い 2022.2
オミクロン株が広がっています。無料で抗原検査・PCR検査が受けられるようになってきました。
抗原検査
検体(唾液や痰や、喉を擦ったもの)にウイルスがいるかどうかを調べます。ウイルスが抗原です。
抗体は体の中に抗原が入った時に、防御するために作られる物質です。
検査の仕組み(陽性の時)
1,ウイルス(右図の検体の中の青い点)が含まれた検体を滴下します。検査キットには、あら
かじめ準備された抗体(右図のY)があります。
抗体には目印をつけておきます。(赤い丸●)
2,抗原と抗体はくっついて移動します。
3,検出ラインには、抗原と抗体がくっついたものをひっかける抗体(Y)があります。そこに溜まる
と赤いラインになります。赤い線が出ると、そこに抗原(ウイルスが)あることがわかります。
PCR検査
PCRとはポリメラーゼ連鎖反応の略です。ポリメラーゼは細胞内でDNAを増殖させる酵素です。
わずかなウイルスの遺伝子(DNA)をポリメラーゼの力を利用して試験管内で増殖し検出します。
この反応を30回くりかえすと1個が10億個になります。数が増えると検出しやすくなります。
抗原検査とPCR検査
鼻や喉からとるのがPCR、唾液が抗原検査と思っている人がいますが、検体の違いではなく検査方法
の違いです。PCR検査の方が少ないウイルスを増やして検査するので検出率が高いです。
抗原検査は15分ほどで結果がでますが、PCR検査では数時間かかります。
PCR検査は万能か 次のような理由で感染症のスクリーニングには適しません
PCRは理論的には素晴らしい方法です。検体の採取部位、検体の採取方法、ウイルスの量、感染して
からの時期、検体の保存、人為的なミスなどで感度は悪くなります。また、死んでしまったウイルス
や感染を起こさない程度の微量のウイルスも増殖するので、感染してなくても陽性と判定します。
感度 感染している人が検査して陽性とわかる割合です。新型コロナでは70%です。
感染しているのに陽性と判定されない人が30%います。(偽陰性)。
特異度 感染していない人が陰性とわかる割合です。新型コロナでは99%です。
感染していないのに陰性と判定されない人が1%います。(偽陽性)
例えば 人口10万人の町で感染者が100人いたとします。10万人にPCR検査をします。
感染者のうち70人が陽性となります。感染者のうち30人は陰性となります。30人は自分は正常だと思
って出歩いて感染を広めます。正常者のうち999人は陽性と判断されて隔離されます。
※ 本来、医師が必要とした人に診断のためにすべき検査です。この場合の感度は90%です。
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