外転神経麻痺(外直筋麻痺) 2022.11
12本ある脳神経の6番目の脳神経は、外転神経です。外転神経は、眼球を動かす筋肉のうち外直筋
を支配しています。外転神経に障害がおきると、外直筋の麻痺を生じます。右図は左目です。
原因は 後天性の原因としては、脳腫瘍・頭蓋内圧更進・頭部外傷・多発性硬化症・脳血管障害・糖
尿病・高血圧などがあります。発症するとCT・MRI・血液検査などをしますが、原因が見つからない
こともあります。
症状は 麻痺した目が内側を向き、外に動かない。そのために複視、複視を避けるために顔を回します。
診断は 症状からすぐに診断できます。原因を調べるために、CT、MRI、全身検査をします。
治療は 原因がわかるときは原因疾患の治療をします。プリズムや遮蔽をして、6ヶ月待って改善しな
いときは手術を考えます。
最近経験した症例で説明します。
7年前に発症して、いろいろ検査をしたが原因がわからず様子を見ていたそうです。プリズムを
処方されたが、複視が強くて片目を閉じて暮らしていました。左目のレンズにプリズムを貼り付
けてあります。(膜プリズムといいます)
下写真が初診時の目の状態です
右は向けます 正面では左目が内斜視 左目は左を向けません
手術は図のようにしました
上直筋と下直筋に糸をかけて、外直筋の方に引っ張り縫い付けました。
上が術後2週間の写真です。正面で目の位置は真っ直ぐになりました。左を向いたときの複視の
範囲が減りました。手術をして正面での複視がなくなり、両目で日常生活ができるようになり
ました。
追加のメガネ
生活のほとんどは具合いいのですが、車の運転で急に左を見ようとすると二重に見えるとのこと
でした。いろいろ試して、次のようなプリズムのメガネを処方し運転の時だけ使ってもらっています。
このメガネをかけると、正面を見ているときに少し左側が見えます。
※外転神経麻痺は、適切な手術やプリズム眼鏡を工夫することで不自由なく暮らすことができます。
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