メガネで治す斜視
2021.7
調節性内斜視の子供に、「眼鏡を外すと斜視になり、からかわれるので手術をしてほしい」と言
われました。小さな子供から手術をしてほしいと言われたのは初めてでした.
メガネを掛けることでからかわれたりしないように周囲の大人は気をつけて下さい。
子供でも分かりやすいように調節性内斜視について説明します。
下の図でお子さんに説明してください。
まれつきの遠視が原因です
図1 図2 図3 図4 図5
調節性内斜視は生まれた時から遠視があることが原因です。遠視は目の奥行きが短い状態です。
1mm短いだけで問題を起こします。遺伝とか妊娠中の問題ではありません。
図1は正常な目です。遠くから来た光は眼底に像を結びます。
図2は遠視の目です。目の長さが短いので遠くからの光は眼底の後ろに像を結びます。そのために良く
見えません。
図3は遠視の人がはっきり見ようと頑張っている状態です。水晶体(赤い部分)が膨らんで光が眼底
に像を結びます。この働きを調節といいます。
図4は正常な人が近くを見ている時です。正常な目では調節は近くを見るときにおきます。
図5 正常な人は近くを見るときは調節して寄り目(輻輳といいます)になっています。
遠視の目では、遠くを見るときも近くを見るときも調節して寄り目になります。この状態が続くと内斜
視になります。(上の写真)これを調節性内斜視といいます。
治療は遠視の眼鏡を掛けることです。(下の写真)
遠視の眼鏡を掛けると図のように調節しなくてもはっきり見えて目が寄ってきません。
手術はできるか
斜視の手術をしても、物を見るためには調節するので、すぐに内斜視になってきます。
数十年前にはこのような知識がなかったために手術をしたこともあったようです。
どうしても眼鏡が嫌なら
数年すると遠視が軽くなって眼鏡が必要なくなることもありますので慌てないことです。
解決法としてコンタクトレンズがあります。親が手伝ってあげるなら小学校低学年でもできます。
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