ウシの目 2021.1
明けましておめでとうございます。今年は丑年です。牛の目についてのお話です。
ウシの視力
鹿児島大学農学部で牛の視力を測定しました。ランドルト環(人の視力検査に使う指標)
を書いたパネルの裏に餌を置いて、このパネルの裏に餌があることを学習させます。
ランドルト環と同じ大きさの切れ目のない円を書いたパネルを用意します。
2種類のパネルのうちどちらのパネルを選ぶかによって判断します。
結果、視力は0.04〜0.08でした。
ウシの視野
ウシの目は、両目の間隔が広く頭の横側についています。そのために視野が広いです。
330度見えます。左図のように後ろの一部分が見えないだけです。斜線の部分が両目で
見ているところ、白い部分が片目で見ているところです。図は、左からウシ、イヌ、
人の視野です。また、瞳孔が右写真のように横長になっているので、パノラマのように
世の中を見ることができます。周辺を見渡し、背後から近づいてくる敵をいち早く察知
して逃げることができます。
ウシの色覚
ウシは色盲であると思われていましたが、実はかなりの色の識別ができます。
鹿児島大学農学部が、色覚検査のパネルを使った研究をしました。色覚異常があると
間違いやすい色のパネルを作り、迷路の両側に置いて片方のパネルを選ぶと餌が得られ
るようにしてウシの行動を調べました。パネルは、赤と緑、赤紫と緑、青と緑です。
ウシは色盲ではなく、ヒトと同じ正常な3色型(赤、緑、青の錐体細胞で判断する)で
あることがわかりました。今までは、赤の錐体がないと言われていました。
色盲でないことはわかりましたが、ヒトと同じ色合いで見えているかは不明です。
人の目の病気に牛眼があります
出生時や出生早期に発症する緑内障では、眼球の組織が柔らかいために眼圧が上昇す
ると眼球が大きくなります。黒目の部分が大きく、ウシの目のように見えるので牛
眼ということもあります。
失明を防ぐために早期の手術が必要です。
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