PCRとはどんな検査 2020.8
新型コロナウイルスの検査でPCRという言葉をよく耳にするかと思います。実は、PCRと
は試験管内で調べたいDNAを増やす方法で、新型コロナウイルス独特の検査ではありません
犯罪や親子鑑定のDNA検査もPCRを利用しています。
PCR法
PCRとはPolymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)
の略です。ポリメラーゼは細胞内でDNAを増殖させる酵素です。
どの生物にも存在します。PCR法は、わずかな遺伝子(DNA)をポ
リメラーゼの力を利用して試験管内で増殖する方法です。この方法を
発見したカリー・マリスは1993年にノーベル科学賞を受賞しました。
仕組みは
① 検体を採取します。検体にはDNAが含まれています。DNAは2本の鎖が水素結合しています
本当はらせん状ですがわかりやすく平行に図示しました。
② 90℃以上の熱を加えると水素結合が切断されDNAが2本に分かれます。
③ 40~65℃にして、遺伝子の配列情報を基に人工的に合成したDNA断片(プライマー)を加
えると図のように付きます。
④ 72℃にします。DNAポリメラーゼがDNAの複製を始めます。
右図の六角形がポリメラーゼです。
⑤ DNAの複製ができます。これを何回も繰りかえしDNAを増やします。
25回繰り返すと100万倍になります。
⑥ 指定したDNAの複製が沢山出来ることで検体にそのウイルスが含まれていることが証明さ
れます。検査には6時間程度かかります。
※少し難しいのですが、ウイルスにはRNAウイルスとDNAウイルスがあります。
コロナウイルスはRNAウイルスなので、PCR法の前にRNAをDNAに変える逆転写と
いう作業も追加されます。
DNAポリメラーゼはどの生物にもありますが、高温にすると破壊されてしまいます
初めのころはポリメラーゼを反応ごとに毎回加える必要があり、手間のかかる検査でした。
海底火山の熱水噴出孔に生息している細菌から耐熱性のポリメラーゼをとり、それを使うこ
とにより自動で繰り返してできるようになりました。
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