網膜動脈閉塞症(もうまくどうみゃくへいそくしょう) 2018.6
網膜に酸素や栄養を送り込んでいるのが網膜動脈です。この動脈が閉塞して血液が流れなくなる
と網膜に酸素や栄養が届かなくなります。その結果、突然視界が真っ暗になったり、視力が低下
します。
動脈の閉塞する場所によって分類されます。動脈が眼内に入る前の部分で閉塞が起きた状態を網膜中心
動脈閉塞といいます。右眼底写真のように網膜は浮腫のために白く濁って動脈が細くなります。中心部
は網膜が薄いので、下にある脈絡膜の血管が透けて見えます。写真の赤い部分でチェリーレッドスポッ
トといいます。視力は0.1以下に低下します。
中心動脈が眼内に入り、分かれた先が閉塞すると網膜動脈分枝閉塞といいます。閉塞する場所によ
って視力低下の程度はいろいろです。下左側の写真は、発症して3日目です。下半分の網膜が白くな
っています。下右写真は、発症後2か月です。網膜に血液が流れるようになりました。しかし、血液
が流れない時間があったために網膜の神経が死んでしまっています。右が視野検査の結果です。
上半分の視野が見えません。
原因は大きく分けると三つです
①網膜動脈に動脈硬化がおきて内径が狭くなっていて、血栓(血の塊)が形成される
②網膜動脈より心臓に近い部分で動脈硬化がおきて血栓ができて、その血栓がはがれて流れてき
て網膜動脈に付着する
③網膜動脈に炎症や痙攣がおきて血流が途絶える
治療は
1時間以上血流が途絶えると網膜の神経細胞は死んでしまいます。残念ですが受診するころには
手遅れになっています。以前、別の病気で診察中に発症した例があり、早期に治療できたことが
ありました。
大切なのは
再発しないように、他眼に発症しないように、動脈硬化の全身的な管理をすることです。
今の視力を守るためにも定期的な受診は必要です。
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