斜視・弱視の眼鏡は外せるか 2017.9
斜視・弱視の治療のために眼鏡を処方するときに、必ず聞かれるのが「眼鏡は外せるようになり
ますか」ということです。外せないことが多いのですが、次のような例を経験することもあります。
1歳1ケ月の時に内斜視のために受診しました。
左が初診時です。遠視があり調節性内斜視の診断で眼鏡を処方しました。
(調節性内斜視は遠視が原因でおきる斜視で、眼鏡装用で改善します)
右は2歳の時です。眼鏡で目の位置はまっすぐになりました。図は、その後の経過です。(度数で+は
遠視、-は近視です。数字が大きくなるほど度が強いです。 正位=まっすぐのこと)
|
右目の度数 |
左目の度数 |
目の位置 眼鏡 |
1歳1ケ月 |
+4.0 |
+4.5 |
内斜視 眼鏡を掛け始める |
2歳 |
+4.0 |
+4.5 |
眼鏡で正位 |
4歳 |
+4.0 |
+4.5 |
眼鏡で正位 |
5歳 |
+3.0 |
+4.5 |
眼鏡で正位 |
9歳 |
+1.0 |
+3.0 |
眼鏡で正位 |
10歳 |
+0.5 |
+2.0 |
眼鏡で正位 |
11歳 |
-0.5 |
+0.5 |
眼鏡をはずす 正位 |
13歳 |
-0.75 |
+0.5 |
外斜視が始まる |
17歳 |
-1.5 |
+0.5 |
外斜視が進行し手術を希望 |
左は手術前、右は手術後1週間です。
経過をまとめると
右目は、遠視が弱くなり、現在では近視になっています。
左目も、遠視が弱くなり、現在では軽い遠視になっています。今後、近視になるかもしれません。
眼位は、内斜視 → 正位 → 外斜視 と変化してきました。
(内斜視と外斜視は原因が違うため、共存していたが、遠視が治ってきて内斜視が治ったた
めに外斜視が目立つようになったと考えられます。)
このような例を経験すると、遠視が軽くなり眼鏡が外せるかもしれない、斜視も変化するかもしれな
いと説明するのが正しいのではと思います。
大切なことは、弱視や斜視を治すのに今必要な治療をすることだと思います。
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