アイドルが開散麻痺(カイサンマヒ)になった 2016.12
皆さんは知らないと思いますが、地下アイドルというのがあって仮面女子というグループ
があります。そのメンバーの一人が斜視になって苦しんでいるというニュースがありました。
(地下アイドルとは テレビなどに出ないでライブ活動しているアイドル)
彼女のブログから
高校生のころ、後天的な内斜視で突然発症しました。有名な先生や病院を調べては、20軒以上
の病院に通院し検査した。病院を変えるたびに同じような検査の繰り返しで、答えが見つから
なくて心身ともに疲れていました。そんな時についに、診察してすぐに『これ開散麻痺だよ。
手術で治るよ。』 こんなにも簡単に答えを出してくれる先生がいるのに、今までなぜ開散麻
痺と診断できる先生がいなかったのか
(かわいそうなことに発病から治療まで6年経過しています。)
開散麻痺とは
目を内側に寄せてた位置からもとにもどす働きを開散(かいさん)といいます。その働きが悪
くなるために、遠くを見るときに目が内側に寄った状態になることです。
次のような症状が急に始まったときに開散麻痺を疑います
① 遠方を見ると内斜視があり、複視がある
② 近方を見るときはほぼ真っすぐで複視はない
③ 外を向いたときに眼球運動の制限がない
診断は難しいでしょうか
斜視を専門にしている眼科医ならすぐに診断できます。しかし斜視を専門にしていない眼
科医は診断できないことがあります。神経内科や脳外科の先生で診断できる人はごくわず
原因は
脳内の開散を支配している部分に障害がおきたと考えられます。脳腫瘍や脳血管障害のた
めおこることもありますので、CT・MRIの検査をしますが、ほとんどが原因不明です。
治療は
半年くらいは自然治癒することがあり、複視を防ぐような治療をしながら様子をみます。
改善がない時は、手術をします。ただ、外転神経麻痺を合併していると治療は面倒です。
目の位置がおかしかったり、複視があったらまず眼科を受診してください。その先生がわ
からないようでしたら、斜視や神経眼科の専門の眼科医を紹介してもらってください。
脳外科や神経内科などをはじめに受診すると動眼神経麻痺とか外転神経麻痺とか筋無力症
と診断されてしまうことがあります。
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