深 視 力         2015.8

車の免許の試験で、大型や2種の免許では深視力検査があります。深視力が悪かったの
免許が通らなかったという人が受診します。深視力とはどのような視力でどのような
検査をするのでしょうか。立体視とはちがうのでしょうか。


まず深径覚(しんけいかく)について知ってください
深径覚とは奥行きの感覚です。空間の中で2つの物質のどちらが自分に近いかを感じる
感覚です。奥行きの感覚の手掛かりは、2次元の感覚と3次元の感覚です。
  2次元の感覚は、相対的な大きさ、重なり、相対的な動き、かすみなどです。
   例えば、大きく見える車、別の車に重なっている車、視野をより速く動く車はよ
     り近くにあります。遠ざかるものは大気のために霞んで見えます。 
  3次元の感覚は立体視といいます。
     左右の目は離れています。右目と左目で見ている風景はズレています。左右のズ
   レを頭の中で統合することによって立体に見ることができます。この能力を立体
     視といいます。一般に眼科で検査しているのは立体視です。
    深径覚を測定したのが深視力です → 立体視検査が正常でも2次元の感覚が悪
   かったり、動くものに対する反応が悪いと深視力は悪いです

深視力計



左が深視力計です。三杆法といいます。2.5mの距離から窓を覗きます。3本の棒が
見えます。中央の棒を前後に動かして3本の棒が横に並んだと思ったらボタンを押
します。写真2番目は棒が後ろ、3番目は並んでいる、4番目は棒が前に来ていると
ころです。前後のズレが2cm以内なら正常です。

深視力の検査が悪い人は

①深径覚が悪い
 斜視がある。目の動きが悪い。視力が悪い。生まれつき立体視がない。

②反応が遅くて検査についていけない

深視力検査ができるようにするためには

  良く見えるように眼鏡を合わせる。
  目の位置のズレのある人はプリズム眼鏡を作る。
  練習効果があるので練習してから試験に行く。
 (当院には深視力計がありますので何回でも練習してください)
深視力と車の運転
最近ではレーザーやカメラで車間を測定したり、後ろが見えるカメラがありますの
 で、深視力が悪ければ運転が危険ということはありません。しかも普通免許の人は検
査しなくていいのは、同じ道を走っているのにおかしいですよね。技術は進歩してい
のに50年前の法律に縛られているのは変ですね。


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