鳥 は 鳥 目 か 2014.8
鳥の目といえば、夜は全くものが見えない。「鳥目=夜盲」であるというのが定説
になっています。ところが多くの鳥は夜でも見えるのです。渡り鳥のように夜飛ぶ鳥
も多く、フクロウなどの夜行性の鳥もいます。
なぜ鳥は鳥目と言われるか
多くの鳥が昼行性で夜に活動しない、昼間に比べて夜はかなり視力が悪い、身近に
いる家畜であるニワトリが夜には極端に視力が低下することから生まれた言葉の様
です。哺乳類は、恐竜が栄えたころ恐竜から逃れるために夜行性でした。そのため
にヒトは夜も見えるような目を持っています。それに対して恐竜の子孫である鳥は
昼行性で、暗所よりも明所で能力が発揮されるような目の仕組みになっています。
そのため明るい所で働く錐体という細胞は人より多いのです。しかし暗い所で働く
杆体という細胞が少ないです。ほとんどの鳥は、夜はヒトより少し見え難いですが、
夜盲ではありません。下図は、鳥の祖先と言われる羽毛恐竜です。飛ぶことはできず、
羽毛は保温のためでした。
身近な鳥の目の能力をまとめてみました
種類によってかなり違います
視力 ニワトリ0.07 ハト0.5 タカ4.7 ハヤブサ8.0 多くの鳥は2.0~4.0
昼間の視力を良くするための目の構造(中央図)
①レンズの焦点距離を長くして遠くのものを見えるようにしています。そのため
には目の大きさをできるだけ大きくする必要があります。あまりにも大きく
なり目を動かす筋肉のスペースがなくなり、目を十分に動かせなくなり首を動
かして物を見ます。
②ものを見る中心部(中心窩)に錐体の数がヒトの数倍あります。このためヒト
の何倍も解像力がいいです。しかしニワトリは中心窩がないので視力が悪い
です。ツバメ、モズ、カワセミなど中心窩が2か所あって周囲に注意を払いな
がら小さい虫が見えるような目を持っています。
③ヒトは網膜に多くの血管があり、その部分は見えにくくなっています。鳥では
網膜の血管が少なく櫛膜という組織で網膜に豊富に栄養を送っていますので、
網膜の働きが人間よりいいです。
夜間の視力を良くするための目の構造(右図)
①フクロウは多くの光を集めるためにレンズの口径を大きくしています。そのた
めに眼球を動かす筋肉のスペースがなくなり、頭を大きく動かします。フク
ロウはヒトの100倍夜間は見えています。
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