遠近両用眼内レンズはぼやける?
白内障の手術では、濁った水晶体をとりだして、眼内レンズを挿入します。
一般的には単焦点レンズを挿入します。ピントの合う場所が一カ所のため、見る場所によ
ってガネを追加する必要があります。
最近、遠近両用の眼内レンズが使われてきました。メガネなしで遠くから近くまで見えるの
で快適だという人もいますが、すっきり見えなくて具合悪いという人もいます。
レンズの種類とピントの位置
左は単焦点眼内レンズです。遠くが見えるようにレンズを合わせると(黒い線)、近く
からの光は眼底の後ろにピントが合いぼやけます(赤い線)。
右は遠近両用眼内レンズです。レンズの表面に加工してあります。遠くからの光(黒い
線)も、近くからの光(赤い線)も眼底にピントが合います。
遠近両用の眼内レンズの問題点
遠近両用の眼内レンズは良さそうですが、レンズのもっている問題点があります。
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遠くの物も近くの物も同時に眼底に像を結ぶように設計されています。
→ 近くを見ているか遠くを見ているか、脳で判断して像を見分けます。
→ 脳で像を判断する時に、「すごく見える」「ぼやける」「見え方が悪い」
と人によって感じ方が違います。
単焦点であれば、像を選択しなくていいので「はっきり見える」と感じます。
A
近方と遠方で光を振り分けるので薄暗い所ではぼやけ易いです。
B
瞳が大きくなる夜間では、マブシサ、ニジミが強くなることがあります。
どうしたらいいでしょう
その人の生活スタイルで決めるしかないと思います。
多少見え方が悪いかもしれないがメガネなしの生活をしたい人 → 遠近両用レンズ
(※ 近くをはっきり見たい時には老眼鏡が必要なこともあります)
術前に遠近両用コンタクトを使っていて具合良かった人 → 遠近両用レンズ
多少の不便さよりもはっきりした見え方を望む人 → 単焦点レンズ + 老眼鏡
術前に遠近両用眼鏡を使っていて具合良かった人 → 単焦点レンズ + 遠近両用眼鏡
夜間長時間車の運転をする人 → 単焦点レンズ
眼内レンズは具合悪くても簡単に交換できませんので、十分考えて決断してください
視力のいい時期に遠近両用のコンタクトレンズを試しておくのもいい方法です。
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