幼児のメガネ処方
3歳児健診で遠視、乱視、近視がある、右目と左目の度数の差が大きいといわれました。メガネは必要
でしょうか。まだ、視力が測れませんがメガネを勧められました。視力が測れなくてもメガネを作って大丈
夫でしょうか。小学生ではどの程度になったらメガネを掛けたほうがいいでしょうか。
幼児や小児のメガネについて質問をうけます。
何歳になったら視力測定できますか
幼児のために特殊な視力測定の方法もありますが信頼性に乏しいため参考値です。大人と同
じ方法で検査できるのは3歳からです。検査に信頼ができるようになるのは早くて3歳半から
です。4歳になるとほとんどの子供で視力測定に信頼性があります。
視力が測れなくてもメガネが必要な時とは
視力が測定できなくても、近視・遠視・乱視の度数を調べることができます。遠視、乱視の度数が強かったり、
左右で遠視、乱視の度数が違うときには、斜視や弱視になる可能性があります。斜視になっているときや、斜
視や弱視になる危険性があるときにはメガネを掛けさせます。
どの程度の度数なら心配かという大体の目安はありますが、一般的な基準はありません。
斜視があるかないか、何歳か、定期検査に通ってくれそうか、メガネを掛けてくれそうか、精神的な発達はどう
かなどの条件を考えて、それぞれの先生が判断するというのが現況です。
これから説明するのは、私が考えている基準です。
屈折の値
説明で出てくる、○ D の○が屈折の値です。遠くからの光が、眼底の後ろにピントがあう
と遠視で+、眼底の前にピントがあうと近視で−です。
両目が遠視のとき
内斜視があるとき
年齢に関係なく 遠視が+1.5 D以上あればメガネを掛けさせます。遠視が内斜視の原因となっていること
があるので必ず処方します)右のようにメガネで斜視が治ります。
内斜視がないとき
3歳未満 遠視が+5.0 D以上でメガネを掛ける
3歳以上 遠視が+3.0 D以上でメガネを掛ける
(0歳から3歳にかけて遠視の度が減ってくるので、年齢によって基準の度数をかえています)
遠視に左右差があるとき
遠視に左右差があるときは、遠視の強い方の目が弱視になる可能性があります。3歳以上で、左右の差が
2 D以上ならメガネを掛けさせます。
(3歳前でも左右差があれば掛けたほうがいいですが、弱視が3歳以後にみつかっても手遅れにはなりませ
んので、私は3歳でいいと思っています)
乱視が強いとき
遠視を伴っている時(遠視性乱視)は、両目が遠視のときと同じように考えてメガネを処方します。
それ以外の乱視では、3歳まで待って視力が悪ければメガネを処方します。
近視があるとき
近視は弱視にはなってきませんので、視力がはかれてからメガネを処方します。
ただ、手元が見えないほどの強い近視では、精神的な発育に影響があるかもしれませんの
で−5.0 D以上なら処方します。
メガネに対する私の考え方
これ以上待つと弱視の心配があると判断したときに処方するようにしています。
ただ、本人や保護者が嫌がらなければ、早めにメガネを処方したほうが安心です。
強い遠視・乱視があればメガネを掛ける、視力測定ができるようになって弱視の心配が
ないとわかったらメガネを外すということでもいいです。
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