放射線と目の障害
福島原発の事故で、放射性物質が放出され体への障害が心配されています。目にはど
のような異常が起きる心配があるのでしょうか。私たちは、事故の現場にいるわけで
はありませんので全く心配ないのですが、マスコミの過剰(異常)な報道に心配して
いる人も多いと思います。
放射能と放射線と放射性物質
用語について理解しましょう。
放射性物質
放射線をだす物質です。今回ですと原子炉の 中にある物質です。また、空中や水道水
中に含まれていたのも原子炉から漏れでてきた放射性物質です。約70種類の物質があ
ります。
放射能
放射性物質が放射線をだす能力です。ただ、一般的には放射能を持つ物質(放射性物質)
を放射能といっていました。今回の事故を機会に区別して使うようにしたほうが間違い
が少ないと思います。
放射線 放射性物質からでてきます。種類は、透過する強さの順に、アルファー線、ベー
ター線、ガンマー線、X線中性子線となっています。X線はレントゲン検査に利用されます
測定単位
ベクレル 放射性物質で1秒間に1個の原子核が壊れて放射線を放つ能力(放射能)を1
ベクレルといいます。たとえば、水道水210ベクレルというのは、1Kg
(=1L)の水から1秒ごとに210個の原子核が壊れて放射線が出ているとい
うことです。放射線を出す側の能力を表す単位です。
シーベルト 放射線を受けた側の影響を表す単位です。放射線はその種類や受ける側の年
齢によって人体への影響が違います。たとえば、中性子線はガンマー線の20
倍の影響力があります。放射線の種類や年齢を考慮して補正した値がシーべル
トです。
ベクレルとシーベルト 例えば、水道水が210ベクレルであっても、飲んだり触れな
ければ、人体への影響は0シーベルトです。
210ベクレル 水道水で問題となった210ベクレルの水を1歳以下の子どもが1L飲
むと11マイクロシーベルト、1年飲み続けても4ミリシーベルトで問題あり
ません。1歳以上なら同じ量を飲んでも半分、20歳以上ならほぼ0シーベル
トになります。大人がペットボトルを買い占めるのは全く無駄なことです。
ほうれん草の放射性物質も、毎日1Kgを1年間食べ続けたら体への影響がある
かもしれないという程度です。
目に対する放射性物質汚染の対応
@ 結膜は、皮膚よりも放射線物質を吸収しやすいとされています。外から帰ったら
洗顔して、防腐剤の入っていない点眼薬を数滴つけてください。水道水で洗った
り、洗眼液で洗うのはかえって目の表面を傷つけるので好ましくありません。
今の放射線量なら全く気にすることはありません。避難命令や屋内退避の指示の出
ている地域の人だけでいいと思います。一番いけないのは、放射線量は多くないの
に、心配して洗眼液や水道水で目を洗うことです。
A 白内障
被曝の量が多い時は数カ月して、少ない時は数年
して白内障がおきます。左図は、水晶体です。水
晶体に濁りが出るのが白内障です。放射線が水晶
体の上皮細胞に当たると細胞が死んで水晶体の後
ろに移動してきます。濁りが溜まると見えにく
くなります。たとえ、白内障になっても手術すれ
ば視力は回復します。手術も老人性の白内障と同
じ方法で安全にできます。
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