累進レンズ
累進レンズ(るいしんれんず)、聞きなれない名前ですが、一般に境目のない遠近
両用レンズと言われているものです。かつては累進レンズとは遠くから近くまで見
える遠近両用レンズでしたが、最近では、中間距離から近くまでの中近レンズ、近
くの見える範囲を少し広くする近々レンズ、若い人の疲れやすさを軽くする眼精疲
労用レンズがあります。
累進レンズとは
初めは遠近両用レンズというと、左のレンズのように遠くのレンズの下の方に小さい
老眼のレンズをつけたレンズでした。焦点が二つあるので二重焦点レンズといわれて
います。中間距離が見えないのと人から老眼とわかるという理由から、境目のない遠
近両用レンズができました。少しずつ度数が変わるので累進レンズといわれています。
右が累進レンズです。上が遠方、下が近方になっています。その間はすこしずつ度数
が変わっています。度数の変化を等高線で表しています。当初は歪みが強く使いにく
いレンズでしたが、最近のレンズは正しく処方するとそこそこに使えるようになって
きました。レンズの種類は次に説明します。
遠近両用レンズ(上左図)
レンズの上の方に遠用、下の方に近用の度数が入っています。その間には中間度数と
いって遠方から近方に次第に度数が変わっている部分があります。遠方の範囲を広く
したり、近方の範囲を広くしたり中間度数の変わり方を工夫したり、各メーカーで工
夫しています。常時、メガネを使う人に薦めます。時々、必要なときだけ使う人は歪
みが我慢できずに使いこなすことはできません。老眼の軽いうちから使い始めて、次
第に度数を上げていくのが使いこなすコツです。
中近両用レンズ(上2番目の図)
遠用をレンズのかなり上にします。中間の部分を広くします。室内でテレビを見たり
新聞をみたり過ごすのに具合いいです。車の運転には適しません。遠近両用を日常使
い、室内では中近に掛け替えて使うと快適です。ほとんど室内で過ごす人は中近だけ
でいいこともあります。
近々両用レンズ(上3番目の図)
ほとんど近用ですが、上の方の度数を下げてあります。普通の老眼鏡ではピントの合
う距離が固定していますが、このレンズを使うと少し奥のほうも見ることができます。
パソコンを使うときに、パソコンの画面を見たり手元が見たりできるので便利です。
眼精疲労予防レンズ(上4番目の図)
下の方をほんの少しだけ度数を弱くしたレンズです。近くを見るときに楽に見えます。
長時間の近業する人が疲れにくいと言われています。老眼にまでなっていないけれど
近くを見ていると疲れ易いなと感じている人にお勧めです。
中国では、近視の進行の予防にこのレンズを使っているということですが、効果につ
いては不明です。
遠近両用眼鏡の処方
レンズのメーカー、種類によって装用感が違います。当院ではいろいろなトライアル
レンズを揃えてあります。処方する時は、レンズのメーカー・種類を指定します。
戻る