コンタクトレンズ用洗浄液
先日、ソフトコンタクト用の洗浄液で消毒効果が不十分な製品があるとの新聞報道があ
りました。消毒液の正しい選択と使い方について説明します。
ソフトコンタクトの消毒法には
過酸化水素
ケガをした時にオキシフルまたはオキシドールという薬をつかったことがあると思いま
す。傷口につけると泡(酸素)が出てくる消毒液です。消毒効果が強いです。
利点は 消毒効果が強いことです
欠点は 消毒が終わった後にレンズに吸収された過酸化水素を中和する必要があ
ります。中和操作を忘れてレンズを入れると刺激症状がでます。保存液
には消毒効果がないために24時間を超えた場合は再消毒が必要です。
毎日、定期的に使う人に適しています。
MPS(multi-purpose solution)
洗浄、すすぎ、保存、消毒を一本で行えます。Multi(多くの)purpose(目的)solution
(溶液)でMPSと言われます。現在、ケアの主流になっています。消毒力が過酸化水
素に比べて弱いために次のことに注意して使ってください。
こすり洗いをする レンズの表面の細菌などを除去することで消毒効果が強くなります
水道水を使わない 水道水にはアカントアメーバーが含まれることがあります
レンズケースは常に清潔に保つ レンズケースが汚染されていることがあります
MPSを継ぎ足して使わない
装用する前に MPSでレンズを十分すすぐ
今回の新聞報道
最近、コンタクト装用者のアカントアメーバーの感染が問題となっています。国民生活
センターが日本コンタクトレンズ学会に、MPSの消毒効果について調査を依頼したも
のです。いろいろな調査をしたのですが、@の一部だけが報道されました。
@ MPSのアカントアメーバーに対する消毒効果
アカントアメーバーの入った液に消毒液を加えて8時間後に調べた
効果があったのは2銘柄(レニューマルチプラス、エピカコールド)
MPSを継ぎ足しして使った時は、すべての例で消毒効果は不十分だった。
MPSでは、こすり洗いをすることが大切であるが表示が十分でなかった
A ソフトコンタクトレンズの衛生調査
ソフトコンタクト使用者からコンタクトレンズとレンズケースを回収してアカン
トアメーバーと細菌の有無を調べた正しい取り扱いをしている人のほうがレン
ズは奇麗だった(正しい取り扱いについては上をみてください)
コンタクトを使っている約半数がトラブルを経験していたが、定期的に検査を受
けていない人が多かった。
当院での対処法
どの消毒液でも、正しく使って定期検査をうければ問題ないと考えます。しかし、
消毒効果が強いほうが安全ですので、これからは、過酸化水素(写真左側2種類)と
MPS(写真右側2種類)を勧めます。
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