円 錐 角 膜
乱視が進行してきて円錐角膜といわれました。進行したら手術が必要だと言われました。
どのような病気でしょうか。
円錐角膜とは
上左写真が円錐角膜です。角膜が下のほうに膨らんでいるように見えます。この形状が円
錐形なので円錐角膜といいます。正常な形は2番目の写真のように球になっています。
上下に半円の白い帯に見える部分が角膜を光で切った断面です。円錐角膜の目に同じ検査
をしたのが3番目の写真です。上下に走る白い線が、正常よりも膨らんでいるのがわかるか
と思います。上右図は角膜全体のカーブを測定したものです。左側は正常な人でカーブが均
一です。右が円錐角膜の人です。カーブが強くなっている部分は赤くなっています。
特徴は
原因は不明ですが、男性に多く、思春期に始まり25歳位で進行が止
まることが多いです。初期にはまぶしさや光に敏感になるなど見え方
が少し悪くなるだけです。角膜が歪みますので乱視が強くなりメガネ
で視力が出なくなってきます。ほとんどの乱視は強くなってくること
はありませんので中高生になって乱視が進行してくるなら眼科を受診
してください。 次第に進行してくると、角膜のデスメ膜という部分
に裂け目ができて、そこから眼の中の水 が入り白く濁ります。(左の
写真)透明なプラスチックの板を曲げたとき、初めは透明なまま曲が
りますが、次第に白く濁ってくるのと同じです。
治療は
今のところ進行を止めたり、治したりする治療法はありません。軽いうちはメガネでも見
えます。進行してくるとハードコンタクトや円錐角膜用の特殊なハードコンタクトレンズ
を使います。上左は普通のハードコンタクトを使った状態、中央は円錐角膜用のレンズを
使った状態です。角膜とレンズの隙間に色素をいれて見ています。円錐角膜用のレンズの
ほうが中心部に均一に色素が入っているために痛みが少なく見えやすいです。レンズを使
いやすくするためにソフトコンタクトとの併用もします。ハードコンタクトを使うと進行
を抑えられるという説もありますがそのような例は経験していません。
進行してくるとコンタクトレンズが痛くて使えなくなったり、角膜が濁るために視力がで
なくなります。このようになると角膜移植が必要になってきます。角膜移植は上右の図の
ように、濁った角膜を丸く切り抜き、いただいた透明な角膜を縫合します。他の病気の角
膜移植よりも成功率は高いです。当院ではこの手術はしていませんので、信頼できる施設
を紹介しています。
戻る