学校の視力検査で悪いといわれたら
新学期が始まると学校で視力検査があり、視力の悪い子供は受診するように用紙をも
らいます。学校の検査で悪いと言われた時にはどのような状態が考えられるでしょうか。
学校での検査は
学校では裸眼視力か眼鏡をかけた視力を測定することになっています。視力は測定する
たびに変動することがあるので、A(1.0以上)B(0.7〜0.9)C(0.3〜0.6)D(0.2以下)
と連絡があるかと思います。B以下であれば保護者に連絡の用紙がいきます。ABCDで報
告するのは手抜きだという人がいますが、視力は環境や体調により変化しますので、学
校での検査でそれ以上求めるのは無理です。また、数字だけが独り歩きするのは間違っ
た判断の元になりますので、現在の方法がすぐれていると思います。
眼科での検査は
視力検査は眼鏡をかけない裸眼視力と眼鏡をかけた矯正視力を検査します。遠方での視
力が悪い時は近くの視力(近見視力)を測定します。屈折(近視・遠視・乱視)を調べ
ます。必要によって目の緊張をとる目薬を使って屈折の検査をします。
その後、医師が、角膜や水晶体、眼底に病気がないか診察します。
どのような異常がありますか
@ 異常なし
特に1年生では初めての検査で上手にできないことがあります。時間をかけて視
力測定すると1.0以上答えられる子供も多いです。
A 遠視
眼球の長さの短い状態です。生まれつきの異常です。ピントが眼底の後ろに合う
ので見えにくいです。眼には調節といってピント合わせの力があるので、軽い遠
視だと裸眼視力がいいこともあります。調節の程度によって視力は変動しますの
で、昨年まで用紙をもらわなかったのに今年は悪いといわれる、来年はまた良い
と言われることもあります。
B 乱視(下図左)
眼球、特に角膜の形のゆがみです。生まれつきの異常で、特殊な病気をのぞけば
進行することはありません。見る方向によって見えたり見えなかったりしますの
で、昨年までは1.0だったのに今年は悪いといわれ、来年は異常なしと言われるこ
ともあります。
C 近視
ピントが眼底の前に合うために見えにくいです。次の3つのタイプがあります。
生まれつきの近視
生まれつき眼球の長い場合です。強い近視となり、眼底に異常があり、眼鏡を
かけても視力が出ないことがあります。
途中からの近視 (下図中央)
次第に眼球が長くなりピントが合わなくなってくるタイプです。近視のほとんど
がこのタイプです。近くのものを見るのが原因とか、姿勢が悪いといけないとか
言われますが、そのようなことは証明されていません。(右図上)
仮性近視 (下図右)
近くのものをみると目が緊張した状態になり、それが戻らなくなりピントが前
に合うため見えにくくなる状態です。目の緊張をとる点眼を使ってよくなれば
このタイプの近視です。
実際、点眼を使ってみると仮性近視はほとんどありません。
D 心因性視力障害
ストレスが原因で見えなくなる状態です。屈折の異常もないし、目に病気もないの
に視力が極端に悪いことがあります。
視力が悪かったらどうしたらいいでしょう
弱視や斜視があり治療のために必要なら本人の希望にかかわらず眼鏡をかけさせること
もあります。ほとんどは、本人の希望を聞いて眼鏡をかけるか決めます。
親が勝手に判断して受診しないで、小学校高学年になって弱視がみつかることがあります。
学校から連絡があったなら一度は眼科を受診してください。
戻る