魚 の 目
今回のお話は、魚の目(さかなのめ)についてです。「うおのめ」の話ではありません。
先日、友人と魚を食べていて、目の部分から白い玉がでてきました。これは魚の水晶体
です。水晶体は透明なのですが、タンパク質でできているために、熱を加えると白くな
ります。全員が、この白い球が水晶体であること、なぜ魚の水晶体は球なのか知りませ
んでした。
魚の目のしくみ
下左の図がヒト、下右の図が魚の目です。目の構造は基本的に同じです。ヒトの先祖は魚
なのですから当然といえば当然です。 角膜と水晶体で光を屈折させて眼底にピントを合
わせます。
高校の物理の授業を思い出してください。屈折力は、接する物質によって違います。ヒト
の角膜は空気と接しているため屈折力が大きいです。下左図のようにほとんど角膜で光を
屈折します。魚の角膜は水と接しているために屈折力が小さいです。下中央図のように角
膜でほとんど屈折されません。そのために、水晶体で屈折する必要があります。屈折力を
大きくするためには、水晶体を厚くしなければだめです。そのために球になったと考えら
れます。このことは、ヒトでも水中に潜ってみると実感できます。水中で目を開くと、水
と角膜が接するために、ピントが合わなくなりぼやけて見えます。ゴーグルをして、角膜
の前に空気の層を作ってあげるとはっきり見えます。
では、ピント合わせはどうしているのでしょうか。ヒトでは、レンズの形をした水晶体の
厚さを厚くしたり薄くしたりしてピント合わせします。魚は、水晶体をこれ以上厚くする
ことはできないので、上右図のように前後に動かしてピント合わせしています。オレンジ
色の線が近くを見ている状態です。水晶体が前方に移動しています。
魚の視力
魚の視力は、レンズと網膜の性能によってある程度知ることができます。また、学習法と
いう実験で、魚の行動からも推測できます。その結果から、おおよそ0.1〜0.2だと言われて
います。ヒトは水中では強い遠視になり0.1以下の視力です。
魚の目の利点
魚の瞳は開きっぱなしです。目も突出していて、球状の水晶体は半分は体より外に突き出
しています。そのために視野は広く片目でも180度見渡せることができます。視野が広
いと、視力が悪くても動くものを素早く見つけることができます。魚たちは外敵や餌など
動くものをすばやく見つけて生活しているのです。
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