顔面神経麻痺
皆さんの知り合いでも、顔面神経麻痺の人がいるかと思います。ほとんどの人は十分な
治療をうけず、不自由な生活を送っています。顔面神経麻痺の眼科での治療について説
明します。
顔面神経とは
顔面神経は顔面に分布して、おもに表情に関係している筋肉を支配しています。また味覚や
聴覚、涙や唾液の分泌に関係している神経もあります。 図の青い線が、顔面に分布して顔面の筋
肉を支配している顔面神経です。
顔面神経麻痺 顔面神経麻痺は障害される場所によりいろいろな症状がおきます。ここでは運動神経
だけが障害されて原因が不明なベル麻痺についてお話します。
ベル麻痺 原因不明で、表情に関係している筋肉だけの障害が起きる麻痺です。特発性末梢性顔面
神経麻痺ともいいます。顔面神経麻痺の70%を占めます。年間に人口10万人に20人くらいこ
の病気になります。
症状
突然発症し48時間程度で麻痺は最高になります。 額の筋肉が麻痺すると、眉毛や上マブタが
下がります。眼輪筋が麻痺すると、目を閉じることができなくなります。また下マブタが外反
します。そのため目は細くなるが閉じることができなくなり、角膜や結膜に傷ができます。
口の周りの筋肉が麻痺すると口角がさがります。口をしっかり閉じることができません。
このため口笛が吹けなかったり、水を飲むと口角より流れ出ます。
診断
独特の表情から診断は容易です。
検査
ベル麻痺ならば原因は不明ですが、念のために、ほかの神経所見を示すか検査したり、糖尿病な
どの血液検査、CT・MRIなどの検査をうけることが必要です。
治療
2週間程度は安静にして、1週間目からは鏡を見ながらマッサージなどをします。
飲み薬などを使うこともあります。
眼科での治療
目が閉じないため角膜に傷がついたりするので、目を保護するような点眼を使います
経過
数カ月を要しますがほぼ80%の人は回復します。
良くならなかったら
目の周りの症状の場合は手術します。 下左の写真は、眉毛とマブタが下がった人です。
手術で眉毛を吊り上げて、マブタの余った皮膚を切り取りました。下右の写真は手術終
了時です。 症状が固定して良くならないなら手術的に治すことも考えてください。
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