近視と仮性近視
近視が始まってきましたと言うと、治りませんか。ゲームのしすぎだと思います。
進まないようにするにはどうしたらいいですか。仮性近視でしょうか。などの質問を
必ず受けます。近視に対する間違った常識が蔓延しています。
はじめに
日本では、近視は近くのものを見たり、目を使ったのが原因でなり、仮性近視という状
態から近視に進行すると言う人が多いです。いつの頃からかそのような説が唱えられ、い
つの間にか一般の常識のように言われていますが、これが正しいとの証明はされていませ
ん。私はこれは間違いだと考えています。間違った仮説から始まった、治療法、過剰な指
導は困ったものだと感じています。仮に、仮性近視という状態があり、近視に進行すると
しても、現在の指導、治療にかんする常識は間違っていると思います。
近視の原因についての間違った常識を覆すのは大変です。少なくともそれに対する過剰な
反応や治療をやめていただければと思いこれからの文章を書きます。
仮に、目を使うことで仮性近視になり近視になるとしたら
@仮性近視とは
図Tは正視(近視・遠視・乱視でない)の状態です。遠くからの光は眼底にピントが合
っています。図Uは近くのものを見る時の状態です。ピント合わせの筋肉(毛様体筋)
が緊張して水晶体が厚くなります。図Vが仮性近視の状態です。近くを見続けると毛様
体筋の緊張が戻らなくなり、遠くを見るときも水晶体が厚いままのためにピントが眼底
の前に合っています。仮性近視は、毛様体筋の緊張を取れば良くなってきます。
図T正視 図U近見 図V仮性近視 図W近視
A仮性近視から近視へ
仮性近視でピントが合わない状態が続くと、眼球が伸びてきて近視になってきます。
近視では眼球が長くなるのでピントは眼底の前に結びます。つまり遠くが見えにくいこ
とになります。(図W)近視であれば長くなった眼球を短く出来ないので治療しても良
くなりません。
B仮性近視と近視の区別は
強い近視だと眼球の長さを測定したり眼底の変化を観察することでわかりますが、仮性
近視と軽い近視を検査で区別することはできません。毛様体筋の緊張を取り、良くなれ
ば仮性近視、良くならなければ近視です。
C毛様体筋の緊張をとるといわれている方法は
@目薬 A視力回復の器械や訓練 B生活・環境の改善
一番確実ですぐに効果があるのは目薬を使うことです。漫然と訓練を続けたり、高い器
械を買ったり、生活に注意するよりも目薬で毛様体筋の緊張をとれば区別がつきます。
下は点眼の効果についての図です。左図は毛様体筋(赤)が緊張して水晶体が厚くなっ
ていて仮性近視の状態です。右図は点眼後です。筋の緊張が取れて水晶体の厚さが戻っ
ています。
目薬が効果がないときは近視ですので、すべての治療に反応しません
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