糖尿病の診断と治療
糖尿病の患者さんが自分の血糖値を知らなかったり、治療に大切なヘモグロビンA1c
(HbA1c)の値を知らないことが多いです。治療は全て内科の先生にお任せですという人
が多いのに驚かされます。糖尿病の診断の基準を知り、自分の糖尿病がどの程度なのか理
解してください。
@糖尿病と診断される基準
糖尿病学会の基準ではこれに糖負荷試験というのが加わりますが、普段の血液検査でわかる
ことをあげました。ドックの検査結果を当てはめることで判断できます。
随時血糖というのは、一日中いつでもいいので血糖検査をした時の値ということです。
空腹時血糖というのは、朝食前に調べた血糖値です。
HbA1cにより、1〜2ヶ月間の糖尿病のコントロールの状態がわかります。
糖尿病の症状とは、口渇、多飲、体重減少です。
随時血糖が200mg以上の時には、横の条件の一つでもあれば糖尿病になります。
空腹時血糖は126mg以上あれば、横の条件の一つでもあれば糖尿病です。
たとえば、健康診断で血糖200mg以上、HbA1c6.5以上なら糖尿病です。
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A糖尿病予備群とは
糖尿病予備群かどうか調べるためには、空腹時血糖と糖負荷試験をする必要があります。
詳しくは内科で検査してもらわないとわかりませんが、空腹時血糖が110〜125mgの人は
糖尿病予備群です。糖尿病予備群の人は4人に1人が糖尿病になっています。
B糖尿病の治療の目標値 糖尿病学会が決めた基準です。
コントロールの評価 |
優 |
良 |
不十分 不良 |
不可 |
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HbA1c |
〜5.7 |
5.8〜6.4 |
6.5〜6.9 |
7.0〜7.9 |
8.0〜 |
空腹時血糖 |
80〜109 |
110〜129 |
130〜159 |
160〜 |
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食後2時間血糖 |
80〜139 |
140〜179 |
180〜219 |
220〜 |
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眼科の立場から
眼底出血を防ぐ為にはコントロール「不十分」より良くしてください。
安全に白内障の手術をするにはコントロール「不良」より良くしてください。
C糖尿病治療の種類
食事療法 ただ甘いものを控えればいいわけではありません。必要なカロリーを計算し
て必要な栄養を取ることが必要です。食事指導をうけて家族で協力することが大切で
す。
運動療法 運動すると血糖値をさげ、インスリンの効き目がよくなるなどの効果があり
ます。
薬物療法 薬物療法を嫌がる人が多いと聞きます。食事や運動療法で十分血糖が下がら
ないときは薬物療法を前向きに受け入れることが必要です。すい臓が疲れ果ててしま
う前に治療を開始するといい結果が得られます。
内服薬 インスリンの分泌を増やす薬 糖の吸収を妨げる薬 細胞で糖が利用される薬
インスリンの注射 特にインスリンの注射を嫌がる人が多いですが、内科の先生が必要
だと判断したなら、積極的に治療を受けてください。
高血圧の治療 高血圧は合併症の進行を加速させるので血圧の管理は大切です。
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