ぶどう膜炎
ぶどう膜炎、聞き慣れない言葉かと思います。目のぶどう膜に起きる炎症ですが、
原因が分からないことが多いです。ぶどう膜炎について説明しますが、いろいろな
病気の総称ですので、それぞれの病気については質問してください。
ぶどう膜とは
ぶどう膜は、脈絡膜・毛様体・虹彩よりなっ
ています。この3つは発生的に同じですので
まとめてぶどう膜といいます。
脈絡膜 網膜と強膜の間にある膜です。たく
さんの血管があり網膜に栄養を送っています。
毛様体 そこにある筋肉は水晶体の厚みを
変えてピントあわせをします。また、房
水という水を作って栄養を眼内に送って
います。虹 彩 カメラのしぼりの役目
をしています。瞳のことです。
なぜ炎症がおきやすいのでしょう
ぶどう膜の特徴は血管が多いことです。血液の中には、外からのばい菌などの異物
に対して防御する物質が多く含まれます。そのため血管の多いところでは炎症がお
きやすいです。また全身の臓器に起こった炎症も血液の流れに乗って運ばれてぶど
う膜で炎症を起こします。
ぶどう膜炎の原因は原因の半分は、ベーチェット病、
サルコイドーシス、原田病です。
あとは膠原病、関節炎、糖尿病などですが、原因不明
のものが3割くらいあります。症状から診断はできて
もその原因はといわれると分からないものがほとんど
です。左の写真はベーチェット病です。充血があり瞳
が癒着して、下のほうには膿が溜まっています
ぶどう膜の炎症がなぜ視力に影響するのでしょうか
ぶどう膜と網膜は全面で接しています。ぶどう膜の炎症は網膜への影響が大きいで
す。網膜はカメラのフィルムに相当する部分ですので視力が悪くなってきます。
ぶどう膜炎の症状は
視力低下 炎症が目の中に広がり、濁りのために見えにくくなります。また炎
症が網膜に及んで網膜が濁ったり、網膜剥離が起きることもあります。
前のほうの炎症が強いと白内障、緑内障が起きて視力が下がること
もあります。
飛蚊症 炎症で目の中に生じた濁りが見えるとチラチラ見えます。
充 血 虹彩、毛様体の炎症が強いと白目が充血します。
痛 み 炎症が強いと鈍い痛みが感じることがあります。
治療は
残念ながら根本的な治療法はありません。炎症を抑える薬を使い対症的な治療を続
けます。再発も予期しないときにおきますので、定期的な検査が必要です。悪くな
ったら早めに受診することが大切です。使う薬は、ステロイド、散瞳剤、免疫抑制
剤などですが、副作用が強かったり使い方には十分注意する必要があります。
合併症が問題です
白内障、緑内障、網膜剥離が高い頻度でおきます。それらに対しての手術も炎症を
強くすることがありますので、十分注意して適当な時期に行います。
失明の心配
以前からみればいろいろな治療法、治療薬が考えられてきましたが、治療しても失
明することもあります。
失明を防ぐには
定期的な検査をして再発を早めに発見して炎症を抑えていくことです。
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