目を洗わないでください
健康ブームのせいか、目を洗う薬や器具が売れています。テレビのコマーシャルも見
かけます。外来でも、「毎日目を洗っていました」「目を洗っていたがよくなりません」
「ここでは目を洗ってくれないのですか」などと患者さんが言います。
「洗眼は有害です、目を洗わないでください。」と患者さんにも説明してきましたが、
最近の洗眼薬のコマーシャルのせいでしょうか、使う人が増えてきたような気がします。
日本人は、綺麗好きでウオシュレットも日本で考えられ世界に広がりました。確かにお尻
は洗うと綺麗になるし気持ちいいです。でも目は洗わないでください。
お尻と目の違い
お尻は皮膚で目は結膜という粘膜です。粘膜はいろいろな感染がおきやすい場所です。
お尻は拭いてあげないといけないですが、目は自分自身で常に綺麗になっています。
お尻は鈍感ですが、目には角膜という敏感で大切な場所があります。
目を洗わなくてもいいという理由
目は自分自身で綺麗にしている
常に涙がでて目の表面を洗い流しています。一日中洗っているのと同じことです。
→ 涙で洗っているならば、洗眼液で洗ってもいいのでは
涙は洗眼液と成分が違います。
洗眼液には含まれない涙の大事な成分(細菌を殺す成分 涙の蒸発を防ぐ成分
角膜の傷を治す成分)
洗眼液に含まれる有害な成分( 防腐剤 防腐剤は角膜を傷つけます。)
洗ってはいけないという理由
@ 洗うことによって角膜を保護している成分を洗い流してしまいます。角膜は上左図
のようにマブタからでる脂肪の層、水分の層などで覆われています。
(黒い四角の部分を拡大したのが、右の水色の部分です。水色の部分は涙の層です。)
洗眼するとこれらの物質を洗い流してしまうので、角膜に傷が付きやすくなります。
また細菌も付きやすくなります。
A 市販の洗眼器具を使うとマブタの汚れが目の中に入ります。
洗眼は上右図のようにしていますが、洗浄液によって目の周りの汚れや細菌が目
の中に入っていくことがわかると思います。
洗ったほうがいいときは
@ 目にゴミが入って取れないときは洗ってもいいです。ただほとんどの場合、刺激で
涙が沢山出てゴミを洗い流してしまいます。
A 薬品などの液体が目に入ったときは水道水で10分以上洗ってください。
B 花粉症の季節で外から帰ったときなど洗うといいといわれています。ただこれも、
アレルギーが起きてから洗っても手遅れですし、逆に睫毛や瞼に付いている花粉を
目に入れる恐れもあります。
コンタクトを外した後は洗ったほうがいいと宣伝していますが
「コンタクトを外した後、レンズはこんなに汚れています。目も汚れているので洗眼しま
しょう」と宣伝しています。レンズの汚れのほとんどは目から出る脂肪です。カップに
浮いているのもほとんどが脂肪です。レンズは洗う必要がありますが、目の中の汚れは
洗わなくても涙とともにすぐに流れ去ってしまいます。
なぜ売っているのですか
眼科医の多くは洗眼をしないほうがいいと言っているのですが・・・・
メーカーは需要があって儲かればいいのでしょうか。少なくとも今井眼科を受診してい
る方は正しい知識をもって洗眼しないようにしましょう。
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