白内障術後の見えにくさ
白内障の手術後に眩しさを感じます。手術後に赤く見えます。手術後に青っぽく見えます。
夜見えにくいです。見え方に関するいろいろな訴えを聞きます。ほとんどは時間とともに薄
らいできますが、どのような理由でそのような見えにくさがおきるのでしょうか。
羞明(しゅうめい)
余計な光が入ることにより見え方が悪くなることです。昼間に感じるまぶしさと、夜間の
眩しさがあります。
昼間のまぶしさ 術前は濁っていた水晶体を通して見ていたのが、手術で急に濁りがとれ
て大量の光が入るために起こることが多いです。手術前は白内障というサングラスを
かけていたと考えてください。術後、眩しさを感じるならば必要なときだけサングラ
スを使うようにしてください。
夜のまぶしさ 暗くなると瞳が開きます。眼内レンズの直径よりも大きく開くと余計な
光が入ってきます。また、光が眼内レンズの端で散乱するのもまぶしさの原因です。
最近では、できるだけ大きな径のレンズを使うようになってきましたが、若い人は瞳が
大きく開くので眩しさを防げないこともあります。
術後時間がたって、レンズの後ろに濁りが出てくると(後発白内障)、眩しさを感じるよ
うになることもあります。
色視症(しきししょう)手術後に、青っぽく見えたり赤く見えることがあります。
赤く見える 手術のときに顕微鏡の強い光が目に入ったために翌日は赤く見えるこ
とがあります。外に出て強い光を見た後に自覚することもあります。手術をしていな
い人でも、天気のいい日に雪かきをして家に入ると家の中がピンクや赤く見えること
と同じです。術後には濁りがなくなり光が沢山目に入るのでよけい症状を強く感じます。
青っぽく見える 人の水晶体は波長の短い光(青の光)を吸収しています。眼内レンズ
はその光を通します。両眼手術すると気にならないのですが、片眼だと気になります。
時間がたつと気にならなくなる人がほとんどですが、気になる人は薄い茶系のサング
ラスを使うといいです。最近では、黄色に着色されたレンズがあり、それを使うと色
視症が軽くなります。(下右写真が着色レンズです)
上左の図は、レンズがどの波長の光線を通すかを表わしています。黄色に着色されたレ
ンズは人の水晶体と同じように光を通します。一般に使われている紫外線カットのレン
ズは青い部分の光を人の水晶体より透過することが分かります。
水色線 透明な眼内レンズ 紫色線 紫外線カットの眼内レンズ
オレンジ色線 黄色に着色された眼内レンズ 紺色線 正常な水晶体
夜間見えにくい 術後は濁りが無くなって光が沢山目に入るので、暗いところでは良く
見えるのではと考えられますが、実際は夜間に見えにくいと訴える人がいます。人の目
には、明るいところで働く神経と、暗いところで働く神経があります。夜間見えにくい
といっても真っ暗なところの話ではなく、薄暗いところで見えにくいことです。薄暗い
ところでは、両方の神経が働いています。人の水晶体は、両方の神経がバランスよく働
く条件になるように光を吸収しています。人工水晶体では全部の光を通してしまうので、
バランスが悪くなり見え方が悪くなると考えられます。黄色に着色された眼内レンズが
有効ですが、すでに手術してある人は青色を吸収するサングラスをかけると見やすくなります。
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