ライダース・クラブ誌2001/10月号掲載
ライテク講座受講レポート

この参加は前振り無しに始まった

「出ても良いですよ〜。・・・タダでサーキット走れるんですよね?」
 ある日家に帰ったら留守番電話が点滅していた。「 初めまして、RC編集部と申します。本誌のライテク企画にご参加して頂きたいと思って電話致しました。」という内容。つい先日、他の雑誌の座談会に参加したばかりの私は、「最近バイク雑誌に載るって話が、私のブームなのかしらん?」みたいな気分。来るモノ拒まずの性格なんで、この返事をした次第であります。
因みに私は数日前に「精進せよ」という指令を受けたばかり。ライテク講座を受けたいと思っていた矢先の話で、渡りに船。受講料が浮いちゃった〜〜♪
「言っときますけど、私のヒザは、地面 から遠いです!」( ̄^ ̄)えへん!
 だってぇ、「ところでellieさん、ヒザ擦った事、あります?」って訊くんですもの。ん、まぁ〜!なぁぁんて失礼な!一度もないわよそんな事。ヒザを擦るなんて、足を広げなきゃ出来ないのよ?乙女の走りに似合わないわっ!そりゃぁ、GPライダーは皆さん、お擦りになってらっしゃいますけど・・・。ん??確かにそれもカッコイイかもね。私はタイムを伸ばせればそれでOKだったんだけど、企画だったら協力してあげましょ♪って感じでして。やらせたければご自由に。出来なくても知らないよん。だって、私、ヒザはいつもおしとやかに畳んでるんですもの〜。うふふん♪
 話を聞いてる限りでは、どうやら那須サーキットを3人で借り切って、根本さん(ネモケン)が朝から晩までライテクを教えてくれるらしい。前日の夕方に編集部を出発し、サーキットの近くのホテルにも「タダで」泊まれるらしい。基本的に朝が弱い私には、有り難いスケジューリングだ。何だか楽しみになって来たぞ!わ〜い!

 

受講前日のオハナシ

「何でココにいるの?」
 集合場所のRC編集部に行ったら、いつもサーキットで見かける仲良しのライターの人が居たの。んで私が彼に言った言葉がコレでして。「俺、今から仕事で那須まで行くんだよ。ellieちゃんは何でココにいるの?」・・・・うがっ!まさか私の事を書くのが知り合いの人になるんだなんて思ってもみなかったよぅ。ごまかし効かないんじゃん!私生活はバラさないでよねぇぇぇ〜〜(;^_^)
「私、コッチに乗って行く〜。」
 ライターの人の車にゴソゴソと勝手に乗り込み、(他の人はトランポだって〜のに)取材前に根回しだ!色々な事が全国にバレナイようにするにも努力が必要だわ〜。・・・・・でもね、そんな話より、トモダチ会話ばっかししてて、根回しは失敗。ちぇ。相手はプロだ。なななかヤルな。
「ココでも教えられないわっ!」

 「雑誌には載せませんので、それぞれ皆さん、年齢を教えて下さい」っていう、ライターの言葉に対する私の返事です。あ〜、ライターが知ってる人で良かった良かった。取材の中での会話では、時折「ellieちゃん、それ言うと年バレルよ」ってのもあったけど、最終的には私のトコだけは「絶対わからない」文章が出来上がる予定なので、平気平気!う〜ん、つくづく思う。ライターが「友達」で良かった良かった!(こうして無言の圧力が!(爆))

「シャイ?なネモケン」
 我々の話に、スタッフ、ライター、カメラマン全員を巻き込んで、爆笑の渦の中を取材は進行。どうしてこんな話がウケルのか分からない、っていう話題にも爆笑される。男性ライダーと女性ライダーの違いだな。しかし、そんな我々の話を、少し離れたところからじぃ〜っと黙って聞いてるネモケン。ん?もしかして、恥ずかしがり屋さんなのかな?
「・・・・ハッキリ言って全然ピンと来ない。」
  「では最後に、根本さんに明日の予定を・・・」お〜、ここで表舞台に出てくるのね、ネモケンさん。「あれ出して。」って言ったネモケンにスタッフが手渡したモノは、1/18のバイク。紙にコーナーを描くと、その上を走らせてコーナリングの事前レクチャー。他の人はどうだったか分かんないけど、少なくとも私には全然。(;^_^)だってさ、そうやってるツモリなんだもん。理屈では百も承知なのだ。だって、今までだって散々、本を読んだり人に訊いたりしてるんだモン。理想とゲンジツのギャップに悩んでんだから、私には耳タコ話だ。それでも素直なellieちゃんは、じ〜っと耳を傾けるのであった。・・・・分かんなかったけど。
 結局深夜1時過ぎまでかかった前日ミーティング。明日は朝から走るってのに、大丈夫なのかしら・・・。ガンバロウ。

 

ライテク本番〜〜〜!!走れ、走れ!

「那須ってヤなのよね〜・・・。ちっこいし。」
 走行会で1度走った経験あるだけなんだけど、小さくてコーナーばっかしあるこの那須のコースでは、私は筑波と同じようなタイムしか出せなかった。切り返すのがだんだん疲れて、めんどくさくになっちゃって、1時間も走ると、「あ〜、もうやだ〜、ウデも足も痛くなっちゃったから走りたく無いよぉ〜・・・って思ったコースなのだ。そんなコースを朝から夕方まで講座受けながら走り続けるなんて、拷問だ。あ〜、でも、ここまで来たら後には引けないモンね、まぁイイや〜、転けないようにしなきゃ、だな・・・。あ〜暑い・・・。
「キレイにして貰えるの?」
 だって、雑誌に写真載るんでしょ?って思って、自分で掃除しようとしてたら、「僕たちがやりますので」って、言ってくれたんですもの。「わらわのマシンに触れても良いぞ。」って気分〜♪スタッフの人の手により、みるみるピカピカに磨かれていく私のSSは、モトが良いだけに、やたら美しく変身!マルケのマグもピカピカだ!俄然やる気になって来た!
「うわ〜、これこそ拷問だぁぁぁ」

 何と最初は時速40kmのカルガモ走行。このスピードで走る仕様にして無いのよね〜、私のSS900。1速と2速でガマンしながら走り続けるコトの苦しさと言ったら・・・。コースをちゃんと見て、ラインを確かめるっていうコトだと思うんだけど、これがまたコース見るのも嫌になる位 、辛くて苦しかった。6周回った後は、今度は時速50kmで更に6周・・・・。こんなスピードでコースを回ったコトなんて1度も無い私は、早くも帰りたい気分になってしまった。風も来ないから、暑さも倍増。ピットに戻った時は、表情から「もうヤだオーラ」が出ていたに違いない。「それじゃ、みんな、それぞれ2〜3周で良いから、自分の好きなスピードで走ってみなさい」って言葉を聞いた時は、空耳かと思ったモン!

「あ〜、やっぱり那須って疲れちゃう。」

 言われた通り、好きなように走ってはみたものの・・・。以前の走行会での走りとちっとも変わらない。相変わらず身体を右に左に移動させる作業がだんだん疲れてイヤになってくるのだ。筑波だとココまで疲れないのに・・・。直線は短いし、コーナーばっかりじゃん。こんな大きいバイクで走るコースじゃ無いと思うのよねぇ・・・。あ〜やだやだ。早く休憩になんないかなぁ〜。暑いのにぃ・・・。ピット戻りたい〜〜。

「は?うっそぉ???」

 いよいよこれからが講座の始まりだ。スタンドを立てたバイクに跨っての荷重移動講座だ。イン側の力を思いっ切り抜く方法のレクチャー。この時点では、実は私は分かって無かった。ピットでいくらシュミレーションしても、実走時の効果 には殆ど期待して無かったの。今までがそうだったから。誰に何を習っても、「理想はそうだけど、走ってみたらダメなのよね、才能無いモン、仕方ないよ。」って気分になって、自分を誤魔化してきた。しまいには「体格が違うモン、私には所詮無理なコトなの」っていう結論まで出してたの。それでも習った以上、実践しないワケにはいかない。その為のコース貸し切りだし、雑誌の企画なのだ。「はいはい、やれってんならやりますです。」って気分で試してみたら・・・・・。『え〜〜〜?ホントに曲がっちゃったよぉ?なんでぇ?信じらんない〜〜!』・・・・急に楽しくなってきちゃった。もう、これだけでも私、良いや。これ以上、何か教えるツモリなのかしら。もう充分です私。

「ひょえ〜っ!?」
 2コ目のレクチャーはブレーキをコントロールしてコーナリングする方法。私にとってはコッチの方が簡単に出来た。何故なら今までもこの方法で曲がってたから。ぐぐ〜っとブレーキかけて、曲がりたい瞬間にパッと離す。それでも曲がって無かった理由は、ちゃんと荷重が移動されて無かったから。さっきの方法との併用をすれば良いって事だ。やってみたら、クンクン曲がって行く。コーナーで待ってるカメラマンに、「ほらほら出来たよ、イェ〜イ!」ってピースサイン出したい気分だったけどやめといた。(爆)次は何教えてくれるんだろな。わくわくだ。
「もっともっと♪」
 ネモケンのBMWのタンデムに乗って、今までのおさらいをするらしい。タンデムするのは大好きなの。リュックになりきるor荷物になりきる。今回はリュックになりきって、ネモケンにしがみつく。「もう、大体分かったかな〜?こんなモンで良い?」っていうネモケンに、「やだ〜、もっと走って〜♪んとねぇ、速く走ってみてよ。」っておねだり。ゆっくり走る時と、速く走る時との差を体感で覚えた。吸収力だけは良いのだ。
ここで昼食タイム〜
「ねぇ、1コーナーの進入のトコ、見ててくれる?」

 どうもネモケンの走り方が頭から離れない。自分を見失ってるらしい。フォームを修正してもらったけど、何だか走っててもしっくり来ない。どうやらお尻をずらすタイミングが遅いようだ。
 慣れて来た私は、小さな疑問も訴える。だんだん“ライダーとコーチ”っぽい会話の仕方になって来た。
「もっともっと早めにカタチ作って!遅すぎる!」「わかった!行くよっ!」「ブレーキの事はその後で考えて!」「今のどうだった?」「まだまだ早く!」「よし!極端にやってみる!」「だんだん良くなってきた!もうちょっとだ!」「おっけ〜!見ててねっ!」・・・・・・・ん〜〜〜!至福の時だわぁ〜〜

「やってみてあげても良いわよぉ〜?」
 “どうやたイケて来たぞ!”って、自分でもハッキリ分かる。しめしめ。って思った所でピットに戻される。フォームの再修正らしい。ヒザをこのまま出してみて、という要請が。ネモちゃん自身、ヒザ出して無いじゃん!とも思ったけど、これは雑誌の企画だし、挑戦しないで終わるワケにもいかないのだな。今までかたくなに畳んで走っていたアンヨをこわごわ開いてみた。きゃぁ〜ハズカシ〜!・・・・いや、やっぱし、やんなきゃなのだ。だってカメラマンが待ってるんですもの。ヘアピンに私が行く度に、フィルムが減ってる事は間違い無いもんね。無理ヒザでも何でも良いから、やってみるかぁ〜。って思って走ってたら、でかい音がした。サイドスタンドも一緒に擦ったらしくて、余計に音が出たみたい。その時はコースに居たのは私一人だったからね、何だかてれちゃった。
「全開だぁ〜〜!きゃっほぅ〜!」
 使命を果たした後の開放感は、スゴイんだなぁ。いきなり自由時間が与えられたような気分になった。ネモちゃんから教えてもらった事は、全部やったぞ!んじゃ、次はどうしよう???って思ってたら、急に今まで友達から教えて貰ってなかなか実践出来なかった事柄をやってみたくなった。「1秒でも一瞬でも長く全開で走る。全開出来る所は全部やるんだよ!」って言ってたなぁ、そういえば。・・・・やってみちゃおうかしら。いきなりコーナー立ち上がりから、ズバッと開けてみた。回転数が上がったらシフトアップして全開。コーナーが怖く無いから、ブレーキ寸前まで全開。コーナーの進入も以前よりずっと突っ込める。だって曲がれるからネ〜♪うっきゃぁ〜!楽しい楽しい!もっとキツイコーナーが多くても良いわぁ〜♪ピットに戻れって?・・・・1周くらいは無視しちゃお。た〜のしぃぃぃ〜〜!

 

あ〜終わっちゃった〜

「那須って楽しいね〜。」
 最初と最後では20秒位縮まったらしい。直線が短いこの那須のコースでは、コーナリングを制したバイクが速いのだ。コーナー得意な人にとっては好きなコースな筈。曲がれるようになった私は、那須も「好きなコース」に入れてあげる事にした。
「コレに乗って帰るぅ〜」
 ネモちゃんの車が乗り心地良さそうだ。帰りもたくさん話が出来て楽しかった。共通 の知人が多かったのにはビックリ。ネモちゃんの顔の広さにもビックリ。昨日までは何だかぎこちなかった会話も、もうその初々しさの跡形も無く、最後までずぅ〜〜〜っと喋りっぱなしの車内だった。
どうもありがとうございました〜♪
「何文字で書けば良いの?」

 後日、感想文を書いてメールで送って下さい、っていう話が。ライターもやってる私は、つい、ワード数訊いちゃうのよね。そんな事訊いて来た受講者はあんまり居なかったのかもだ。んでもって書いた文章が、下に載せてあります。誌面 ではだいぶ削ってあるけどね♪

 

マイ・サクセス・ストーリー
ここに書いてある文章は、ライダース・クラブ誌のライテク講座を受けた感想を書いたモノです。
そしてこの文章をうまくまとめたモノが、誌面に掲載されています。

 「 絶対にヒザ擦りは不可能だ」っていう自信だけは、た〜っぷりあった!何故なら何回サーキットを走ってみても、知り合いに教えてもらった事を一生懸命に実行して走ったつもりでも、男の人達が簡単にクリアしてるタイムにはほど遠い状態のままだったから。
「何秒で走ったの?」っていう質問に答えるのが苦痛で仕方なかった。「お外に出て行っちゃいそうだから、コーナーが怖いよ〜」という意識は、私の心のどこかにヒルのようにピタッと貼り付いていて、ちょっとやそっとじゃ離れそうになかった。
 運動能力が落ちていく「体力向上の曲がり角」なんて、とっくの昔に過ぎた状態の私が“ヒザ擦り”なんて、たとえ“根本マジック”にかかったとしても、それは幻であり、私のフォームを見た瞬間に、見た人全員が無理だと想像するだろう。
 受講前のフリー走行を見た根本さんやスタッフの表情を想像すると、きっと目を合わせながら「どうするよ、コレ・・」って思ってただろうなぁ〜。(苦笑)そんな中、心の底で「ごめんね根本さん」と呟きながら始まった受講だった。

 ・・・ところがどっこい。最初の講義が私を変えた!解りやすく言うと、「曲がり方」を教えてもらったのだ。こんな基本中の基本をどうして今まで誰も教えてくれなかったんだろう??う〜ん・・・。多分、あまりにも基本だからカモ!

  講義は私に合わせた教え方でやってくれた為か、体力の無い私でも、やってみたい気分になれる、「半身脱力法!」(勝手に命名)つまり、イン側をタレパンダにするだけでバイクが勝手に曲がって行くっていう、何とも便利な方法だった。早速実践してみると、いやぁ〜、曲がる曲がる!こんなに曲がるんだったら、「お外に出て行く」なんて、逆にコッチの方が到底無理だぞ!やった!バンザイ!もう、これだけでも良いや。簡単だし、曲がれたモン。・・・って思ってるのに、まだまだ講座は残ってるらしい。
  次の講義は「ブレーキ外し法!」。前出の「半身脱力法」との併用で、 コーナーの度に魔法にかかった様に“クンッ”と勝手に曲がっていく自分に感動。ヘルメットの中で、「おぉ〜!」って自分で言いながら曲がってた。
  その後はクラッチの使い方(ホンの少しレバーを引くだけでにする)や、ブレーキングの方法(2段階に分けてかける)、そして、(型から入る、私の好きな)フォームの修正をしてもらってる私のアタマの中は、とっくにGPライダーと化していた。(気分はロッシ♪
  根本さんの最後の講義、「このまま、少しで良いからイン側の足を出してみてごらん?」という言葉に、「あ。ヒザ擦りに挑戦させよう、っていう意味なのかしらん?ま、やってみても良いわよ、おほほ。」と、“心の中で”思って、コースに出て行った。
  左コーナーで待ち構えてるカメラマンが目に入る。「あああ、やっぱりそうなのねっ!でも、出来なくても怒んないでね、一応、そのツモリで走ってみるからね・・。」でも、周回は重なる一方。幸い、私の中での焦りは無い。
  一度、心を整理する為にピットに戻る。でも実は根本さんの顔を見に行ったの。声には出さなかったけど、「私を見ててね!」ってツモリだった。女はね、見られてキレイになるモノなのよぉ〜♪
  さて安心した所で、いざ、出陣だ。最初から飛ばしてみた。こういうのはね、気合いが乗ってないと全てがダメになるから。何度か周回を重ねた頃、ヘアピンを曲がってたら、左ヒザ付近から突然「ガガッ」っていう音が!!
 ・・・・いやぁ〜、 何ともまぁデカイ音だったコト!!目的をクリアした事で安心したのか、その後の周回は、全開〜フルブレーキ〜習ったコーナリング〜全開加速の繰り返し・・・・。
  兎に角楽しいばかりで、ピットになんか戻りたく無かった私に、どうやら呆れちゃったスタッフが、チェッカー振り廻す程の始末。皆さん拍手を有り難う。この日は私のバイク・ライフの、第2の誕生日になりました。

 

おわり♪♪
 以上が今回のライテク講座受講レポです。今のトコ、誕生したのは良いんだけど、育って無いという状態なんで、忘れない内に、早くサーキットを走ってみたいな〜。2度目のヒザ擦りはいつになる事かしら〜?

 

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