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声に出して読みたい日本語

   本を読むのが好きな人のためのページです
             千葉昌之 HIP


1.本について
  書名「声に出して読みたい日本語」 齊藤孝     草思社  \1200税別) 

 2.本の説明
 国語の時間に、暗唱を行っています。初めて行ったのは、落語の「寿限無」です。「寿限無、寿限無、五劫のすりきれ‥‥」というばかばかしい程長い名前の男の子の話です。「あんまり長い名前だから、こぶがひっこんじゃった。」で終わる落語です。私は、この話を学芸会の劇でやったことがあります。とても面白い話です。どうも、今のクラスの子ども達には読み聞かせで行っていたようです。「先生、その話、前に読んだよ!」と子ども達が言っていましたから。
 この長い名前の暗唱を行いました。6名程、何も見ないで言うことができました。さすがは、子ども達だなあと思いました。
 次の国語では、「付け足し言葉」を暗唱しました。「驚き桃の木山椒の木」から始まる詩です。リズムやテンポがあり、楽しく読むことができます。

 この本です。この本が出たばかりの頃、知り合いに「いい本だよ。学級で使えるよ。」と紹介されました。しばらくたって、道新に紹介文が載りました。11月はじめだったと思います。その時にはもう34万部売れていました。10万部を越えたら、もうベストセラーですから、34万部とはすごいものです。ちょっと、道新の紹介文を載せます。

 土佐日記など、古典や般若心経などの経文と並んで、大道芸の「がまの油」や、落語の「寿限無」などを収めた異色の本。
 ほかに歌舞伎、浪曲、狂言、詩吟、唱歌に漢詩など、いずれも「歴史のなかで吟味され生き抜いてきた名文、名文句」を声に出して読むことで、そのリズムやテンポのよさが身体に染み込んでくると著者は言う。身体に入った文章は、潜在的な日本語能力を向上させる。文章の良し悪しへの目を育て、文章力自体を上げてくれるのである。
 しかし現在、小中学校において暗唱は軽視されている。解釈重視の教科書は、漢字の問題もあって幼稚になり、中学では漱石や鴎外まで消える。著者は意味など後でわかればいい、まずは日本語の宝石を身体に埋めろという。卓見であろう。


 著者がいうように、「意味などあとでわかればいい」そう思います。私は、国語の実力をつける方法として「読書」を第1にあげますが、次には「名文の暗唱」をあげます。この心地よい美しい文章・リズムに触れることで、国語の基礎が培われているのかもしれません。

 この本には、他に、こんな作品があるよということで紹介しましょう。
●「風の又三郎」宮沢賢治   ●「がまの油」大道芸   ●「竹」萩原朔太郎   ●「森の石松」浪曲   ●「そぞろごと」与謝野晶子   ●「初恋」島崎藤村   ●「啄木歌集」石川啄木   ●「サーカス」中原中也   ●「万葉集」山上憶良   ●「大漁」金子みすゞ   ●「荒城の月」土井晩翠   ●「春望」杜甫   ●「おくのほそ道」松尾芭蕉   ●「枕草子」清少納言   ●「たけくらべ」樋口一葉   ●「行司のかけ声・結びの一番」相撲言葉   ●「ひゞのおしえ」福沢諭吉    ●「源氏物語」紫式部   ●「「蜘蛛の糸」芥川龍之介
 この3〜4倍の作品が載っています。「相撲言葉」なんか、面白いなあと思いました。普段聞いているのを、文章に表したのを読んでみるというのも、いいものです。
 子どもと一緒に読まなくても、自分1人で読むのもよいかなあと思います。
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