市庁舎の庭にて

9月21日(火)


晴れ

 

6時頃に目がさめる。どうも昨日は寝つきがわるくて、今朝も早くに目が覚めてしまった。今日はクリーンルームの安全に関する講習があるので、早めに研究室に行くことにした。ところが、実際に行ってみると、講習をしてくれるはずの人が病気で来られなくなり、講習は延期。予定が開いてしまったので、学生相談して、明日やるはずだった実験をやってしまうことになった。こちらは暇を持て余しているくらいだから、願ったりだ。

 

実験は例によって本学、というかメインキャンパスまで行かなければならない。怪しげなめっき液と、実験装置を担いで地下鉄に乗り込む。こうして実験の試料を抱えて、公共の交通機関を使って、実験室の間を渡り歩くというのは、なんとなく奇妙な気がする。

 

この日が実験の最初の日だけあって、細々としたものを集めたり、装置の動作確認をするだけで相当な時間がかかってしまい、本来の予定の半分位しか実現できなかったが、最初だからそういうものだろう。むしろ、今回は実験を一通り行ってみて、問題点を浮き彫りにするのが狙いだから、1つの実験を通しただけでも成果があるというものだ。あとは結果を吟味して改善していけばよいのだから。

 

ビーカーを探したり、薬品を探したりしているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまった。残りの実験は明日に持ち越すことにする。朝9時に、メインキャンパスの図書館の前にある噴水の前で学生と待ち合わせることにした。彼はこれから量子輸送に関する講義があるということで、キャンパスで別れた。こちらは、市街に寄り道して研究室に戻ることにした。寄り道というのは、今、王立歌劇場で「椿姫」をやっているので、そのチケットを取りにいったのだ。

 

地下鉄の中央駅から歩いて5分位のところに、ツアリスト・インフォメーションがある。そこで、コンサートの案内や、チケットの予約を扱っている。そこの窓口で聞いてみると、まだ席には余裕があるらしい。チケット代も、それほど高くはない。とはいえ、舞台に近い、値段も高い席を取るのは、オペラ初心者としては気が引ける。かといって安い、舞台から離れた席で、肝心の舞台が見えなくては仕方がない。頑張って上から2番目のランクの席にする。これだと6千円くらいだろうか。

 

ふと思い立って、ツアリスト・インフォメーションの人に尋ねてみた。これまでにオペラを見に行ったことはないのだけれど、フォーマルな格好をしていくべきですか? 受け付けてくれた中年の男の人は、そんなことはないさ、ラフな服装でいいんだ、お好きな格好でどうぞ、といって笑ってくれた。王立歌劇場だからといって、妙に構えてしまったのが、逆におかしかったのかもしれない。


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