開演前のKonserthus内部。暗い画像を無理やり修正したので色がヘンになっちゃいましたけど、パイプオルガン、見えますね?

10月6日(水)


曇り

 

朝6時起床。今日は両親が帰国するため、空港行きの高速バス乗り場まで案内する。9時にストックホルムを出発するバスに乗れたので、多分、10時前には空港に着くと思う。

 

両親を見送ってから、研究室へ向う。EB露光の予定が立ってきて、来週末には露光できそうだという話になった。そこからは専ら論文を読んだりして、勉強する。KTHでは、北大ではとっていない論文誌、例えば Semiconductor Science and Technology などの雑誌を取っていて、オンラインで過去の論文を調べられるので、この機会に情報収集をしておくことにする。

 

Bruckner 交響曲第5番演奏会チケット今日の晩は王立フィルハーモニーオーケストラのコンサートがある。演目はブルックナーの交響曲5番。実は前日にチケットを手に入れられたので、夕方6時位から出掛けた。場所は青い外壁を持つコンサートハウスである。

 

コンサートハウスに入るのは初めてだった。いわゆる箱型のホールで、3階席まであり、規模としては、Kitara と同じくらいだと思う。パイプオルガンが備えてあるのが見える。このホールも決して近代的とは言い難い内装になっていて、木がふんだんに使われていた。Kitara が開放的な感じがするのに対して、こちらは照明が暗めで、落ち着いた感じがする。今回席を取ったのは3階席の真中あたりで、場所としては悪くなかった。これで140SEK。約2000円といったところだろう。

 

開演時間になって会場に鳴り響いたのは、電子音のクロックではなくて、旧式の目覚まし時計のような、ジリリリという鈴の鳴だった。そういえば、オペラ座のベルも電子音ではなくて鈴だった。電子音に慣れた耳には、いささか奇異な感じもしないではないが、これだけ内装に歴史が刻まれていて、電子音を使うほうが妙なのかもしれない。オケが入ってくる。この日は、ホルンが1stにアシスタントをつけていた他は、ほぼ標準的な編成だったと思う。ラッパ、トロンボーンにはアシはなかった。Bruckner だから当たり前だが、当然、ラッパはC管のロータリーだった。

 

ブルックナーのシンフォニーは、いい演奏と悪い演奏のどちらかに極端に分かれる。良い指揮者が振ると、とてつもない説得力のある音楽になるが、悪い指揮者の演奏ではたまらなく眠くなる。今日の演奏は、前者の部類に入る演奏だったと思う。5番シンフォニーは、ラッパ、トロンボーンのコラールが随所に入っており、伸びやかな響きのある音色は筆舌しがたいものがある。スウェーデン放送響のラッパセクションも素晴らしかったが、さすがはスウェーデンが誇る王立フィルハーモニーだけのことはある。ブルックナーらしい、重厚な響きを出していた。チューバも1本ではあったが、この曲のコラールでオルガンのような響きをだすには十分な音を出していた。惜しかったのはホルンで、音は揺れるし、他のブラスセクションに比べると、若干、弱い気がしないではない。ただし、1st吹きだけは別格で、ソロでは音の跳躍も多く、難曲の部類に入るであろうこの曲を、ほぼノーミスで吹いていた。

 

木管では、クラリネットの主席が4楽章のソロで特筆すべき演奏をしていた。音量がでかい。とても1本のクラリネットで出していたとは思えない音量、そしてダイナミクス。音色も軽くなく、ピッチも気にならず、常識はずれなことをしていたと思う。Bruckner 向きな音色かどうかは置いておくにしても、こういう演奏ができるのはすごいことだと思う。弦は、不思議なことだが、ヴァイオリンはビオラのような音がしていた。ホールのせいかもしれないが、しっとりとした音色が印象的だった。

 

指揮のテート氏は、細かく指揮を振る人のようで、それが全体的な流れを妨げていた感がないではない。指揮の打点が常に胸から上にある感じで、非常に落ち着かない。よく言えば、立て板に水を流すが如し、なのだろうが、留まるところがないので、引っかからなさ過ぎて面白みに欠ける気がした。オケの性能を考えると、別な指揮者で聞いてみたい気がした。それに、同じ演目の2日目になる、明日の演奏の出来も気になる。とはいえ、明日は用事があるので聞けないのだが。


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