このQuodlibet とは「ごたまぜ」、「寄せ集め」とか、「メドレー」という意味のドイツ語です。
過去の Quodlibet: 2004年 11月

某所で楽器を吹くことになるかもしれない、ということもあって、Bachのタテラッパを引っ張りだしてきました。マウスピースもYAMAHAの15C4をつけて、吹いてみたのですが、感触としては、何とかなるかも、という感じ。音を出すツボが、Schagerlとは微妙に違うのですが、比較的ラクにあわせられそうな感じがします。

問題はBachからSchagerlに戻した時。音、出ません。以前も持ち替えを試みた事があって、その時はどちらも15C4に近いマウスピースを使っていたので、あまり気にならなかった。でも今回はCカップからEカップと一気に深くなったので、もう、深いカップに唇が吸い込まれそうです。結論としては、この持ち替え路線は、危険過ぎてムリですなぁ。

レッスンはオーケストラスタディー編を続行中。これ、すっかり趣味の世界ですが、良いんです、どうせ趣味ですから。チャイコフスキーの5番に挑戦。in Aの読み替えは、半音下げるだけだから、大変ではないのですが、やっぱりこの曲は吹くのが大変。それなりに思い切り良く吹かないと、雰囲気が出ませんしね。先生は、この曲を音大のオケで吹いたことがあるそうで、最終楽章はやっぱりキツカッタとか。私が使っている楽譜は、International Music社のものですが、抜粋ですので、もちろん割愛してあるところも。吹き終わったところで、先生所有のドイツの出版社(?)のオーケストラスタディーを見せていただきました。こちらは、コーダのところが全部書いてある。最後の行進曲の前の打ち込みのところも、その前に弦楽器と平行する勝利宣言(?)の旋律も全部。いやーもーごちそうさまですー。

もうきつい選曲は止めにしよう。次は楽なのにします。さて、どうする? (2004/11/28)


赤旗新聞じゃありません。「あの」ウィーンフィルハーモニー管弦楽団の三重公演を聴きにいってきました。細かい事を書くのは野暮ったいと感じる、「美しく、楽しい」時間でした。

演奏会の前半は、シュトラウスのワルツ、ポルカ。後半がチャイコフスキーの交響曲4番。東京など都会の公演は、ヴァイオリンコンチェルトを絡めたプログラムなのでしょうけれど、前半のシュトラウス・プログラムを交えたこの公演は、地方らしい内容だったかもしれません。しかし、考えてみれば、「ウィーンフィルが演奏するウィンナワルツ、ポルカを生で聴く」、というのは希有な体験かもしれませんね。お客さんの反応も良く、安心して堪能できました。演奏者の技量は言うに及ばず、セクションとしては、Fl、Obの木管前列のつくる響きに圧倒されました。シュトランスキーさんが座るホルン会も好調でした。

ゲルギエフさんのウィンナワルツは、ちょっと他人の袴を借りたような感じを受けましたが、後半のチャイコフスキーはハマリましたね。曲が4番だけに、力も入りました。が、「力演」という訳ではなく、あくまでも美しい。結局、美しい音を集めて紡いだものは、やっぱり美しかった、ということなのでしょうか。

時として異彩を放っていたのはホルン会。ウィンナホルンが全開で咆哮した時の響きは涙ものでした。あの独特の深みのある音が重なってビリビリと空気を震わせるのはたまりません。ラッパ会の1stは私ご贔屓のエダーさん。顔を真っ赤にしての奮闘でしたが、挑むべきところは挑み、見事、期待に応える好演でした。

その他、特筆すべき事は、なんて言えばキリがないですが、散文的に感じた事を書くなら、クラリネットの音の暗さが漂う音色に、改めて感動。こういう音のクラリネットしか聴きたいと思わないし、この音色の雰囲気が似合う曲しか聴きたくない、と宗旨を新たにしてきました。フルートは暖かく、倍音の豊かな音で、「冷たい感じが全然しない美人」という感じでした。これは他のパートにも言えることで、根底にあるのが明るく美しい音を指向している点は、このオケならでは、ですね。

まさに夢のようなひとときを過ごしてきました。東京公演の模様は11月21日(日)に中継があるようですが、ここで改めてウィーンフィルの響き、ホルン会の咆哮を味わうとしましょう。(2004/11/14)