このQuodlibet とは「ごたまぜ」、「寄せ集め」とか、「メドレー」という意味のドイツ語です。
過去の Quodlibet: 2004年 7月

ホームページの扉を変えてみました。ベルギーで出会った猫君(さん?)です。片足を乗せてポーズをとっているところがいかすでしょ?

22日夜に亀山さんのアトリエで、リンツブルックナー管弦楽団の主席Tp奏者ペーター・ヴァイツァーさんを囲んだ親睦会があったので、家内と一緒にお邪魔してきました。20人程度の小さな会でしたが、ヴァイツァーさんはとても気さくな方でしたし、とても楽しい会でした。

親睦会の前半は、参加者から質問を募って、それにヴァイツァーさんが答える、という形式でした。どんなウォームアップをしていますか?、という質問に対する答え。マウスピース・アダプターを使って、マウスピースだけで音階、分散和音などを45分間(!)行う。そして、15分間クールダウン。主に James Stamp のメソッドと、楽器を使った練習ではクラークのメソッドが良い、とのこと。その時に、息の流れを意識する。とにかく自然に息が流れるようにする。

圧巻だったのは息の吸い方。説明としては、いわゆる腹式呼吸をする、ということですが、お腹の出方がものすごい。ヴァイツァーさんは、決して太ってはおらず、でも大変にガッチリとした体躯をもっておられて(あの胸板の厚さはうらやましい)印象としては、山歩きで鍛えている、という感じ。その体に息が入ると、3000CCを越える排気量のスポーツカーのアクセルが、今まさに踏み込まれようという雰囲気(分かりにくい表現ですが)です。日本人はみんな息の吸い方に問題がある、こうやって吸うんだ、とおっしゃってましたが、そうやってガッチリとエアを蓄えて、ジークフリートの神々の入場のファンファーレを吹いてくれました。久しぶりで、脳天から音が入る感覚を味わいました(それを聞いたのか、家内のお腹の子が大興奮。彼は私の音では納得してくれなくなるのではと私は今から心配)。

高い音を出すときは、息を沢山吸う。鼻から吸う、というのはアリなんだそうです(うんうん、これは私もそう思う)。それと、吸ったらすぐに吹く。一度ためこんでしまうと、体に余計な力が入ってしまって良くないそうです。いきなりHi-Bbのような高い音を出すときは、音楽の流れのなかで、ビートを感じながら吸うと良いとか。Hi-Fまで出してくれましたが、確かに余裕がある感じ。楽譜が目の前になかったら、ハイトーンであった、ということすら気づかないかもしれませんね。特に高い音では、体の中の力を、下にむけて(トイレでふんばるときと同じだ、ともおっしゃってましたが...)吹くようにして、音をだすポイントがみぞおちのあたりとか、胸のところまで上がらないように。

その他にも質問は?、といわれても、ここまで聞いたらすべての質問に対する答えが出てしまっているようで聞く事がなくなってしまった。アガらないようにするには?、という質問に対しては、アガったことがはない、本番が一番リラックスできる(絶句)ということでした。私も、シンフォニーの最後で美しい音を出すために気をつけることは何ですか?、と尋ねてみました。

答えは、自分だけで吹いているわけではなく、周りとのバランスや流れを感じながら演奏しなくてはならないわけだから、そういうことを考えていれば、バテたり飛び出たりすることはない、ということでした。冷静さ、集中力、そしてフィジカルには息の流れを守るということだそうです。なるほど、なるほど。

親睦会の趣旨はお話をする、ということなのかと思っていたのですが、なぜか途中から公開レッスンに。ブルックナーのオケスタやら、フリューゲルを使ったデュエットやら、予想外に楽しい時間になりました。こうして見ているとブルックナーも、ワグナーも簡単そうですが、自分でやってみるとそうでもないんでしょうなぁ。でもゴールとアプローチは教えてもらったのだから、これは挑戦せねば。(2004/7/22)


レッスンで取り組んでいる教本。現在はMax Schlossbergに挑戦しております。この教本、言葉は非常に少ないですが、丁寧に書いてあります。そして音域が広い。ラッパの最低音から、五線に上加線2本を加えたドはあたりまえ、その上のミ、ファ、位まで出てくることがしばしば。レッスンでは私に演奏不可能な練習曲は飛ばさせてもらっているのですが、「なせばなる」というのは本当のようで、「どうにか出る」音域はあまり広がっていないものの、「使える」音域は広がってきたように思います。去年の自分では、2オクターブの音階練習をしている自分が想像もできなかったけど、とりあえずはビックリしなくなった自分がここに居る、というギャップが面白いですな。(2004/7/19)