講座内容の案内
ラフ案です。講座によって6ヶ月の間に6回〜11回と回数の違いがありますので、内容の進行速度が変わってくることが予想されます。内容紹介の補完はしばらくお待ちください。
1:恐竜の発見。
・・・・リチャード・オーウェンによる”恐竜”の発見と命名。
・・・・キュビエとサンチレールの議論、生物の間には共通の構造がある。なぜだ?。
・・・・ダーウィンの種の起源、進化というものの見方によって、初めて生物界にある”構造”が理解できるようになった。それは系統である。注:ダーウィンは種が実在しない、という結論を示した人であったことに注意!!!。150年前の人とは思えませんな・・・。
・・・・ダーウィンとハックスリーの見解。鳥と爬虫類をつなげる動物、それが恐竜である。
・・・・1950年、ヘニングによる分岐学の提案
・・・・1986年、ジャック・ゴーティエによる恐竜への分岐学の適用
・・・・恐竜とは生命の樹の”ある部分”のことである
・・・・鳥は恐竜であり、爬虫類であるという結論恐竜っていうのは系統のある部分に与えられた名前です。地形のある部分に”富士山”という名前をつけるようなものか?。
2:鳥はなぜ恐竜なのか?
・・・・鳥が恐竜であることは分岐学/最節約法で見ると容易に分かる
・・・・しかし、私達は鳥が恐竜であるなどとさらさら考えない。なぜだろうか?。
・・・・人間は、生物の背景にひそんでいる秩序、つまり系統を完全には認識できない。
・・・・鳥に見える恐竜と恐竜に見える鳥、どこで私達は分類してしまっているのだろう?。
鳥には見えない鳥、モノニクスと鳥に見えてしまう恐竜(非鳥類ー獣脚類)のオヴィラプトル。人間はいったい何を見ているのだろうか?。
・・・・主観的な分類と、系統を推定するために提案された方法論である系統学とは違うものだ。
・・・・生物界に秩序を与えている本質とは系統である。
・・・・そして系統を正確に表現しようとすると、鳥は恐竜に含まれ、なおかつ爬虫類となるのだ。
3:プテラノドンや首長竜はなぜ恐竜ではないのか?
・・・・恐竜というと、私達は首長竜やプテラノドンといった巨大な爬虫類もそこに含んで考える。
・・・・しかし、実際には首長竜やプテラノドンは恐竜ではない。なぜだろうか?。
・・・・ティラノサウルスやイグアノドンのような”恐竜”とプテラノドン、首長竜で生命の樹を作ってみよう。
・・・・生命の樹(<系統のこと)を推定すると首長竜やプテラノドンはティラノサウルスやイグアノドンから離れた位置にあらわれる
・・・・つまり、首長竜やプテラノドンが恐竜でない、このことは、首長竜やプテラノドンがティラノサウルスやイグアノドンよりも血縁が遠いことを示している。
・・・・私たちは生命の樹の各パーツごとに呼び名を与えている。これは相模川などを例に考えると分かりやすい。河川には全体だけでなく、支流にも名前がついている。恐竜とプテラノドン、首長竜は爬虫類という同一の河川であるが、それぞれ異なる支流でもあるのだ。大栗川と乞田川が相模川の別々の支流であるように、恐竜とプテラノドン、首長竜は爬虫類という河川の異なる支流であり、それゆえ別のものなのである。
・・・・私達は系統に名前を与えている
4:各論1:恐竜とはいかなるものか?
・・・・恐竜とは生命の樹/あるいは生物の系統のある一部分のことである
・・・・恐竜という系統はおおきく2つに枝分かれしている>鳥盤類/竜盤類
・・・・鳥盤類は次ぎのような特徴で束ねられる系統である
・・・・竜盤類はおおきく2つに枝分かれしている>竜脚形類/獣脚類
・・・・竜脚形類は次ぎのような特徴で束ねられている
・・・・獣脚類は次ぎのような特徴で束ねられている
・・・・ここで注意しなければいけないのは、ある特徴で束ねられることは、その系統の本質では別にないこと
5:各論2:面白い恐竜
・・・・恐竜にはとうてい見えない恐竜:アンキロサウルスは本当に恐竜か?
・・・・アンキロサウルスだけを他の爬虫類と比べたら、アンキロサウルスは恐竜には見えないだろう。ではどうして”アンキロサウルスが恐竜であること”が分かるのだろうか?
・・・・モノニクスは鳥か、それとも鳥ではないのか?
・・・・最初は鳥だったのに、最近、鳥でないかもしれないね、という結果も・・・・
・・・・トロエドンはどこへいく?。どこにいくか不安定なトロエドン。どこにいっちゃうんでしょう??。
6:実技:
実際に系統樹を編んでみる(Mac Clade 使用)予定。実際にやってみると、口でいうほど系統学や分岐学/最節約法は単純ではありません。基本的な原理は簡単なんですけどね。原理が簡単である、ということと、作業が簡単であるということとは違います。実際、データーによっては答えがぞろぞろでてきたりします。そういう時はどう考えるべきなのか?。
↑以上は進化をメインに恐竜を語る、というものですが、受講される方たちの興味はこういう分野だけではないと思います。そういう疑問は質疑応答の時間で答える予定です。
とはいえ、一般に持たれている疑問に答えるような講議内容も考えています。また。以上では説明したりない部分なども含めると、補助的、あるいは以上の講議の続き的な講議のテーマは以下のような感じです。
A:恐竜は何色だったのだろうか?
・・・・大きな動物は色が地味である/その理由は?
・・・・生物や科学だけでない、イラストレーターが選ぶ恐竜の色を決定する経済/技術/心理的な理由
B:ジュラシックパークは実現できるか?
・・・・まあ、不可能だろうけど、その理由は?。クローン技術にはどんなハードルと問題点があるのか?。
C:ティラノサウルスは走れなかった
・・・・その理由はなんだろうか?。また、走れない、ということと、動きが鈍いということとはまったく別である。
・・・・ころんだら、死んじゃいます(受け身をとらないと)。
D:ティラノサウルスの進化と歴史
・・・・小さな、鳥に似た祖先から進化した、巨大な補食動物。おそらくは羽毛も持っていただろう。
・・・・ティラノサウルスと鳥を束ねる特徴とはなんだろうか?
・・・・機敏な動作を可能にした脚の骨/アルクトメタターサル構造にはどんな役割があるのか?。
・・・・成長過程でその姿は大きく変化した
E:恐竜はなぜ絶滅したのか?
・・・・隕石の衝突/生物が絶滅するには、おそらくは火山のインパクトでは不十分である。隕石による一瞬のインパクトは絶滅にたる破壊力を持つ。
F:恐竜時代の地球
・・・・今とまるで異なる世界。暖かく浅い、比較的不毛な海、今よりも多い二酸化炭素。温暖な世界
G:恐竜時代の生き物達
・・・・アンモナイトの群れる海、海底にはクモヒトデ、やがて現代的な動物達の進出/変わる世界。増えていく花の咲く植物
H:科学哲学
・・・・最節約とはなにか?。オッカムの剃刀とは何か?。シンプルとはどういうことだろう?。最節約の正しさはどこにあるのだろうか?。科学と星占いの違いとはなんだろうか?。ありがちな誤解、論理的であることが科学である、<これは間違っている。演繹/帰納/アブダクションとは何か?。おいでませ!!、カール・ポパー!!
I:分類と系統学
・・・・系統学は分類ではない。どこがちがうのだろう?。分類とはグループを作って分ける、そして名前をつけることである。系統はそうではない。でも分類がないと意志の疎通ができない私達。では、必要であって認識できるのならば、それは実在するか?。答え:実在するとは限りません。