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「リーマス、リーマス!」
「……え!?びっくりした。大きな声を急に出すから……」
「……お前いま起きていたか?」
「ああ、うん……少し気が遠くなっていたかもしれない。君とこうやって抱き合っていると暖かくて……いつも気絶しそうになる」
「……本当に気絶か?居眠りじゃなくて?」
「君が言っていたんじゃないか「上手な男が心を込めて抱くと、相手を気絶させることがある」って。君は何をしても人より優れているから、きっと私は気絶するんだ」
「だったらいいが……リーマス。言っていなかったが、これにも呪いがあるんだ」
「ええ!なんだって!」
ベッドで抱かれている者は、最中に寝てはならない呪いだ」
「寝るとどうなってしまうんだろう」
「抱いている者の頭がたちどころに禿げてしまうらしい」
「シリウスの頭が?大変だ。大丈夫だとは思うけど気を付けるよ」
「そうしてくれ」
「終わると私は1秒で寝てしまうけどあれはいいのかな……?」
「それは……そうだな……ええと」
「ええと?」
「ああいや、できれば15分くらい起きているのが望ましいと聞いた」
「望ましい?不思議な呪いだね。それにしても呪っている人は随分沢山の呪いを考えたねえ。今まで聞いたものだけで10はある」
「そ、そのようだ」
最初に妻の役割になった者は、相手を抱いてはいけない呪い。家に帰ってきた恋人を迎えるとき、必ず抱きしめてキスしなければならない呪い。あまり恋人のことを笑いものにしてはいけない呪い。恋人の顔を出来るだけしっかり覚えていなければならない呪い。2人でいるときはあまり空想をしてはいけない呪い。妻の役割の者は夫の役割の者より先に死んではいけない呪い。夫の役割の者が死んだ場合は涙をふたつぶ以上こぼさなければならない呪い……あと何だっけ」
寝室以外のそこかしこで寝てはならない呪いだ」
「ああそれそれ。そんなに沢山の呪いを考えるだけでも大変そうだ。私ならおとなしく我慢して死ぬ方を選ぶよ」
「呪いを掛けた男はきっと心から恋人を愛していたんだ。しかし相手にひっくり返されたり、30分近く笑われたり、似顔絵をきちんと描いてもらえなかったり、最中居眠りされたりして非業の最期を遂げたんだ……そして世の中の恋人達にはその悲劇を繰り返して欲しくないと呪いを掛けた……」
「シリウス、どうしてそんな辛そうな顔を?」
「彼の心中を思うと胸が重くなるからだよ。リーマス、俺達はきっと幸福な家庭を築こう」
「うん。まったくその通りだねシリウス。私達は文句なく幸福だ……おやすみ」
「待て!リーマスまだ途中だ!起きろ!呪われるぞ!」






先生、そんなウソに騙されるなよ…そもそも。

04年の春のイヴェントにて物を下された方へ
お礼代わりに書きました。
初回アップ 2004.05.18
再録アップ 2004.10.20

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