62 シリウスの舌が非常に器用に動く事を、誰よりもルーピンは知っている。シリウスとキスをしていると、時折自分の口の中の何がどうなっているのかが分からなくなることすらある。比較の対象がないので断言は出来ないのだが、おそらくシリウスはキスが上手なのだろうとルーピンは思う。 器用というキーワードを連なりに、食事をしているシリウスを見てルーピンは友人の丁寧なキスを思い出し、そして彼とキスをしていて、ルーピンは食事の際のシリウスの口元を思い出したりする。そのどちらのシリウスも魅力的だと、教授は心の中でひっそりと考えていた。 「どうしてこんなことをしなければならないんだろう?」というような表情に見えるのだった。もしかすると彼はそんな気持ちではないのかもしれないが、シリウスの目からするとルーピンの顔はそう見えた。如何にも不思議そうな眼。それでも彼の性格で、シリウスが唇を近づけると穏やかにそれを受ける。 彼の舌の裏側を辿っている最中、ふと先程言われた鬼のような皮肉がシリウスの脳裏に蘇ることもある。この小さな暖かい部位が、自分にそれを言ったのだと思うと腹立たしくなって、彼はルーピンの舌を小さく噛んだりもする。それで復讐したつもりになって微笑んでいるシリウスを、ルーピンは矢張り不思議そうな様子で見ているのだった。 もともと上げようとしていたボエが 突然嫌になって上げられなくなり いま、急に、マッハで書きましたよ。 私にしては珍しく、書いて5分後のアップ。 3本ワンセットの安売り靴下システムは こういうとき不便だ……。 2003/12/10 BACK |