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「別にちっとも構わないんだよ」
 とリーマスは言う。
「たぶん君は、私に対する責任とか自分の正当性について色々と考えるんだろうけれど、言ってしまえば、それは必要ないんだ。私にとって」
「けれど俺は」
「うん。ほら、こうやっているだけで気持ちがいい。だからいいんだシリウス」
 朝食の席にいるときと少しも変わらない、きちんとした彼の笑顔を見ながらシリウスは考える。確かに彼はリーマスの言った通り責任や正当性について随分色々検討した。おそらくリーマスが予想しているよりも遥かに多く。シリウスは、2人の今の関係には何の不満も持っていなかったが、世間における2人の関係の位置には納得していなかった。まるで恥ずべき事のように隠しておくのは、友人に対してあまりに誠意が足らないように思えたのだ。もっともそんな事を口にしたら彼本人に長い説教をされてしまうのは目に見えているのでシリウスは黙っているのだが。
「……俺はそうは思わないんだが」
 黙りこんだシリウスの横で、リーマスは笑い声をあげた。
「淑女に対して、どうやってエレガントにダンスに誘おうかと考えている……全裸の男みたいだよ。君は。この状況は前提としてすでに全裸なんだから。君流のエレガントさを追求するには無理がある」
「けれど、全裸だからと言って野獣のように飛びかかっていい訳はない。リーマス」
「礼節は君にとって……」
 リーマスはそう言いかけて途中で口をつぐんだ。
「気になるから続きを言ってくれ」
 彼がそう言うと、リーマスは優しい目でシリウスに唇を寄せる。
「君が責任と正当性について考えるのをやめたら言うよ」


シリウスは聞く事が出来なかった先生の台詞の続きを
皆様には内緒でお伝えしておきましょう

「礼節は君にとって永遠の伴侶だね。私は負けてしまいそうだ」





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