133




パラレルです。読む順番としては
「妖精事件」→「溶性事件」→「要請事件」→「陽性事件」(IN駄文)
それから
「56」→「78」→「84」→「114」→「115」→「133」(INボエム)
というのが正しいと思いますたぶん。




「風呂に入った?」
「……ああ」
「リーマスと一緒に?」
「……まあな」
「風呂場での本番行為は衛生面で問題ありだぞ」
「下劣な想像で物を言うのはやめてくれジェームズ。俺とリーマスの生活が汚れる」
「えっじゃあ何の為に一緒に風呂に入りたかったのさ」
「か、髪を洗ってやったりとか……バスタブで今日あった出来事の話をしたりとか……」
「なにそれ。バッカじゃないの」
「バカじゃない!楽しかった!性犯罪者スレスレの嗜好のお前と一緒にするな!」
「ああ、うん。バカは言い過ぎた。バカじゃない。でも何と言うか……ローティーンみたいだね」
「ローティーンの水遊びとも一緒にするな」
「いや?近頃のローティーンの方が君達より幾らかアダルトだろうよ」
「何だって?」
「なんでもない。それで?」
「ずっと夢だったんだが、あんなに照れて目のやり場に困って気まずい事だったなんて、想像もしなかった」
「今更何を照れることがあるんだ」
「状況が違う。2人とも全裸だが、照明がついていて明るい。手を伸ばせば触れられる近さだが、しかし手を出してはいけない」
「ちょっとくらいならいいんじゃないか?」
「リーマスが尋常でなく照れてるんだ!表面上普通に振舞ってはいるが、あれは努力によるものだ。それ以上どうこうなんて無体な真似は俺には出来ない」
「確かに。よく我慢した。かしこいな」
「向かい合っていると照れとか緊張って伝染するじゃないか。俺は必死で会話を試みるんだ。『首から洗う派?足から洗う派?』とか、『オレンジの入浴剤とミルクの入浴剤はどっちが好きだ?』とか。照れに全身を鞭打たれてる気分だった。リーマスを少しでもリラックスさせるために俺は天井ばかり見てた」
「なんか涙なしには聞けない話になってきたなあ」
「髪を」
「うん」
「髪を洗ってやろうか?と聞いたときには情けなくも、どもってしまった。リーマスは外国を旅行中に猿の脳みそをすすめられた人みたいな顔をして、それからしばらくして『うん』とだけ返事をしてうつむいてしまった」
「やあ、リーマスは可愛いなあ」
「洗っているときは一際可愛かったぞ!前から一度洗ってやりたかったんだ!」
「お前、幸運に感謝しなくちゃ駄目だよ。一緒に入浴など天地が裂けても在り得ないという考えをリーマスが持っていたって不思議はないんだから」
「俺のリーマスに限ってそれはないね!リーマスは俺が真剣に願えば何だって許してくれる」
「うわ、その顔。ムカつくな」
「なんだジェームズ。羨ましいのか」
「羨ましくないね!僕達なんか500回は一緒に入浴してるもの!」
「500回だと!」
「リリーが風呂場から『ダーリンいっしょにどうかしら』なんて低い声で誘う。僕は腰にタオルなんか巻いちゃって、もじもじしながらバスルームに入る。リリーはふざけて僕に湯をかけたりする」
「気持ち悪いから身振り手振りはやめろ」
「なにい!これからがいいところなのに!」

(ハリーが部屋に入ってくる。2人、ぴたりと黙る)

「何の話?」
「風呂に浮かべるのはアヒルのおもちゃか、カエルのおもちゃか、どちらが相応しいかという深遠な議論だ」
「シリウスはどっち派?」
「俺か。俺は……アヒルかな」
「ふうん。真剣に願えば何だって許してくれる優しいアヒルで良かったね。じゃ、ロン達と約束があるから行ってきます」
「いってらっしゃい・・・・・・」
「・・・・・・」
「あの物の言い方……お前にそっくりになってきたな」
「シリウスもそう思うかい?いや、困ったな」
「赤面するな。照れる話じゃないぞ」
「ああ、ほらもうこんな時間だ。可愛いアヒルの待つ家に、そろそろお帰りシリウス」
「・・・・・・」
「もしかしたらアヒルは今日もお風呂に入れてもらうのを待ってるかもしれないぞ」
「からかうな」
「次は背中も洗えるといいね」
「(小声で)ああ」
「(ジェームズ心からの笑顔)今日はごちそうさま」





最近シリウスがかわいそうな話が多かったので
シリウスの長年の夢をかなえてあげました。
普通の先生では無理そうなので妖精の先生で。
2006.08.07

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