120おまけ 寝室の暗闇の中で 「恥ずかしい」 「真顔で言うな」 「恥ずかしい」 「笑顔でも駄目だ」 「恥ずかしい?」 「どうして疑問形なんだ」 「難しい」 「お前、絶対趣旨を理解してないだろう」 「いや、分かっているつもりだよ。でも表情筋が動くかどうかはまた別の話だ」 「……うん。そうだろうな」 「拒否してみるとどうだろう。『いやだ、恥ずかしい…』とか」 「棒読みでなければもっといいと思う」 「真剣に言ったら君は慌てて手を止めるんじゃないか?」 「ああ。そうかも……しれない」 「こういう上級者の遊びをするのに私が向いていないのは勿論だけど、 意外と君も同じくらい向いていないんじゃないかな」 「そうか?」 「君が、本気で恥ずかしがって嫌がる私に 無理矢理何かできるようには到底思えない」 「・・・・・・」 「子供の頃の優しい君は、そのまま大人になったんだねえ。 今ここで思い出す事じゃないけど、感慨深いな」 「・・・・・・」 「恥ずかしい?」 「恥ずかしい」 2006/01/19 |