115 パラレルです。読む順番としては 「妖精事件」→「溶性事件」→「要請事件」→「陽性事件」(IN駄文) それから 「56」→「78」→「84」→「114」(INボエム) というのが正しいと思いますたぶん。 「やあリーマス」 「……やあジェームズ。どうしたんだいこんな時間に。しかも窓から」 「しーっ。静かに」 「言ってくれたら夕飯を待っていたのに。もう済ませてしまった」 「お構いなく。ちょっと寄っただけだから」 「じゃあお茶をいれるから少し…」 「だめだめ奴に気付かれる。静かに静かに」 「奴ってシリウス?」 「そうさ。奴がここに現れたら、その辺りの割れ物を手当たりしだい僕めがけて投げつけるだろうから内緒で。すぐ帰るよ」 「シリウスはそんな事しないと思うけど……」 「するよ。この間の特訓のことで随分怒っていたからね」 「特訓?ああ……あれからもう1ヶ月だ。早いなあ」 「僕はあれから吠えメールを20通も受け取った。シリウスが改良した特別製の奴だ。ご丁寧にも赤ん坊には聞こえないようにしてあってね」 「どうしてジェームズを怒るんだろう。特訓は面白かったのに。君とリリー共作のキーマカレーとナンは絶品だったね!」 「ああ、リリーがレシピはもうちょっと待ってって言ってた」 「別に急がないよって伝えて。うさぎとびも水泳も、久し振りだったから楽しかったよ。最後はシリウスの写真を貼った木製人形相手に戦ったりね」 「君の決めたキック、是非シリウスにも見せたかったなあ」 「あはははは。あ、分かった」 「え?何が」 「君、私達が喧嘩をしてやしないか気になって様子を見にきてくれたんだね」 「……君の解釈はいつも格段に優しいなあ!リーマス」 「べつに喧嘩はしていない。私達は今までと同じように仲良しだよ」 「そうか」 「……呪いも解けたし」 「……そうか」 「君に対してもシリウスに対してもまあちょっと恥ずかしいけど、別に大した問題じゃないしね」 「奴は君に謝ったのか?」 「謝った」 「それは良かった」 「別に謝る必要はなかったのに」 「そうかい?」 「そうだよ。私はシリウスのやりたいことをやりたいようにするので全然構わないんだ」 「呪いは解けないほうが良かったかな?だったら僕が謝る番だ」 「ううん。ますますシリウスの事を好きな気持ちが大きくなった」 「のろけだ」 「そうだよ。ねえジェームズ、誰でもこんな気持ちになるんだろうか」 「こんな気持ちって?」 「うーん……」 「待ち時間が長いなら小声で歌っていようか」 「そう……」 「ホグホグワツワツ……」 「私でなかったら、シリウスは誰にもあんな事はさせないと思う。それくらいなら死を選ぶくらいには、彼は男性としての自分にプライドを持っている」 「わあ、いきなり物凄い核心から入ったぞ。この期に及んでまだ奴は嫌がったのか?」 「いや。緊張はしていたけど、でも彼はとても真面目に接してくれた。もちろん私も緊張していたから、彼の飲み込んだ空気の音が、ぎゅう、と聞こえるくらいに静かだった」 「うん」 「あんなに可愛いものを、私は他に知らない。両手で彼の頬を包むとね。彼が私の手の中でまばたきをしているんだ。シリウスは生まれたばかりの雛のように私を一心に見つめていて、それだけで胸が詰まりそうになった」 「……」 「ああ、ジェームズ。みんなこんな気持ちになるんだろうか。私は怖いんだ。シリウスはこの世に1人しかいないのに私は彼がこんなにも好きだ。彼がもしいなくなってしまったらどうすればいいんだろう。幸福なのに怖いんだ。変だね」 「大切な人を持つと時々そうなるんだよ。大丈夫」 「君も?」 「毎日毎秒」 「それは大変そうだ」 「君達は僕の友人だけあって、いい奴だ。シリウスはハンサムで変で面白いし、君は優しくて強靭でユニークだ。最高な者同士で惹かれあって、両想いなんてすごいぞ?君達は最高のカップルだ。怖いのくらいは税金だと思って我慢しろ」 「うーん……」 「怖いのの50倍くらい幸せだろう?」 「87倍くらいかな?」 「この幸せ者」 「うん」 「君が幸せで、僕は心底嬉しい」 「ありがとう」 「初めて食べたシリウスの感想は?」 「……それは言ってはいけないんだ」 「おや秘密?君にしては珍しいねリーマス」 「うん。『人に言ったらシリウスが泣きながら出て行く呪い』がかかっている」 「ああ、それは大変そうだ」 「そうだよ。彼を一晩中探さないといけない羽目になるのは私だから」 (ドアの開く音) 「その眼鏡のクルクルパーマは誰だ!?」 「眼鏡のクルクルパーマって……ジェームズじゃないか。シリウス」 「その男はいつの間にこの家に侵入した」 「彼はさっき来たんだよ。君に知らせるとその辺りの割れ物を……」 (皿の割れる音) (ジェームズの悲鳴) 「すごい、ジェームズ……君は占い師になるといいよ……あ?帰るの?またね。リリーによろしく……」 映画4の映像のショックで シリル文章が書けなくなっていましたが ちょっとこう妖精とかそういう脇道から 段々近寄っていくことにしてみました……。 いやあ、破壊力あったわー。あれ。 なんつかこう妖精の一連は、ジェームズが 生きているのがいいですね。 サークル仲間のカプがそのまま結婚して 互いが互いを気に掛けているみたいな感じが。 本筋に比べると、幸福って無造作だなあと思います。 2005/12/07 BACK |