その年のクリスマスは
北半球と南半球に別れ別れになることもなく、
或いは地下の暗闇に2人揃って閉じ込められることもなく、
無事に隠れ家で過ごすことが出来そうだった。
その日の早朝に慌しく戻ったばかりで、
食糧貯蔵庫には、キャベツとベーコンとパンしかなかったが、
彼等はそれでどうにかこうにか夕食を作り、
とっておきのワインを開けた。
シリウスは「クリスマスのためにとっておいた」
という自信のジョークを披露した。
殊の外その出来が素晴らしかったので、
ルーピンは赤ワインを吹き出した。
いつかどちらかがやるだろうと2人で言っていた失敗だが、
自分が、しかもこの年末にやらかしてしまった事に
彼はショックを隠しきれないようだった。
満足げなシリウスに、「復讐されないと思っているのかな?」
と物騒な台詞を元教師は言った。
「お前の自信作ジョークを披露してくれるのか?」
とシリウスは笑ったが
「今年一番の『痛そうな話』をするよ。聞きたまえ」
とルーピンが言ったので笑うのをやめた。
外は雪だった。
しかし暖炉の燃える家の中は暖かく、
人の笑い声がやむことはなかった。
有り得ないほどのパースの歪み!
気持ちが悪くなった人ごめんなさい。
シリウスが笑うのをやめたのに
笑い声がやまなかったのは
先生がずっと笑っていたからです。(鬼!)
2005/12/24 アップ
2006/03/27 再アップ