リーマス・J・ルーピンに関する短い考察


   彼は。リーマスは歩くときに足音をさせない。風を立てないので、彼が通っても紙さえ揺れない。気配もない。呼吸が静かすぎて聞こえない。俺は時々不安になって手を伸ばしリーマスに触れる。彼は俺が子供のように甘えているとでも思うのか、余所見をしながら頭を撫でようとする。俺は慌ててそうではないと説明するが、リーマスは人の話を聞かない。
 思えば俺はいつも不安だ。
 子供の頃、そして今。長い時間を一緒に過ごし随分沢山の事柄を彼と語った。神や悪魔について、良心や欲望について。どこからがリーマスの考えで、どこまでが俺の考えなのかはもはや曖昧になってしまっている。それでも俺の知らない何か大きな部分が彼の中にあるという気が無性にするのは、昔の出来事の所為だけなのだろうか?
 抱きしめても揺さぶっても、彼が唇を噛みしめ声を抑えている瞬間ですら、それがリーマスの全てではなくどこかに俺の知らない彼が居るのではないかと、幾分偏執的にそう考える。

 認めるのは不愉快だが、俺がリーマスに介入できる箇所は何処にもない。
 リーマスの感情は揺れない。外部からの刺激や情報を自分の中に受け入れる事を彼は一切しない。システムは出来上がっていて強固だ。出来事を処理する手順がきちんと決まっていて、それは厳重に梱包され分類され保管される。イレギュラーは認められない。故に俺の入る隙があるようには見えない。ツルハシやシャベルで岩盤に挑むようなものだ。しかし、この人格を形成した物を思うと自然と頭を垂れざるを得ない。俺は昔も今も変わらず彼を尊敬している。

 問いかけるような、彼の独特の笑顔を見て俺は嘆息する。中身は鋼鉄顔負けの癖に、彼の外見はこんなにも優しい。言葉も仕草も。詐欺だ。とりあえず世間に対して無性に告発と弁解をしたくなる。俺は日夜、植物と動物の丁度中間のような生物を相手にしているのだと。いや、鉱物と動物の中間かもしれない。
 我侭や情熱や執着や。人には有って当然の物がリーマスの中にはない。俺はそれを実感するたび少し動揺し小さく傷つき不安になり心配をする。無駄な消耗?その通りだとも。

 ああ、けれど。
 俺はきっと恋をしているのだろう。自分でもバカバカしくなる。
 リーマスに今述べた感情を話せば、彼はたぶん笑うと思う。なので言わない。

 これは俺のささやかな秘密だ。






いやもうツッコむ所がありすぎて
読んでいる人は大忙しです。
貴方もバカバカしくなるかもしれないけどさ
書いてる私もバカバカしいし
読んでいる人はもっとバカバカしいよおそらく。

思考の焦点がフラフラしていて、最後は
考察じゃなくなってるところが彼らしい(笑)。

一生追いなさいワンワンと。
「がんばれ」
2003/02/17



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