The time of philosophy


 「こうやって、くわえていると哲学的な気分にならないか?」
 ソファーのアームの部分にもたれかかるようにしてリーマスが仰向けになっていた。その足下にシリウスが許しを請うように跪いているが、実際許しを請うている訳ではない。
「考え事をするなら足の間からどいてくれないかシリウス。用事をしている最中の私をここに引き倒したのは君だろう」
 リーマスのシャツはかろうじて両腕に引っかかっている状態で、ズボンは膝から先をどうにか覆っていた。剥かれかけて放置された海老になった気分がしていた彼である。一言キツめのブラックジョークでも言いたくなろうというものだ。
「そんなポーズで静止してるから、てっきり『きらきら星』でも演奏してくれるのかと思ったよ」
 シリウスは2,3度瞬き、眼前のものとリーマスの顔を見比べた。
「鳴るなら吹いてもいいが、鳴らないだろう」
 ブラックジョークなら彼の方が何段も上手だったのをリーマスは失念していた(『何故なら彼の名は!』ジェームズの悪戯っぽいウィンクが思い出される)。しかも少年の頃に浮かべていた口を斜めにしてにやりと笑う表情がなくなり、冗談なのか真剣に言っているのか判別が付かないところが益々性質が悪い。
 シリウスがまだ思案顔をしているので仕方なくリーマスは先を促す。
「哲学的ってどんな?」
「……ああ。小さい頃にした勉強も、腹に入れた食事も、睡眠も、全部今こうやって くわえる為のものだったのか、と」
「……哲学者が聞いたらオノ持って追いかけてくると思うよ」
 カントやヘーゲルからは逃げられそうだが、ソクラテスは年寄りのくせに足が早そうだとシリウスは笑った。
「子供の頃の俺に教えてやったらさぞやびっくりするだろうな……『おい、お前は隣にいる友達のをくわえる事になるんだぜ』」
 リーマスが真顔で起きあがってシリウスの顔を両手に包み微笑む。
「そんな変態的な密告をする前に、私が君の息の根を止めるからね。覚えておいてくれ」
「実際は不可能なんだから、そんなに怒ることないだろう」
「怒っていないよ」
「ウソつけ」
 シリウスはリーマスの腹に横顔を付けた。あまりに薄いので心地悪い。
「哲学の時間は終わりだ、ミスター・ルーピン。次は音楽の時間」
「音楽?吹くのかい?」
のんびりと尋ねるリーマスに、シリウスは首を振って答えた。
「いや、発声練習だよ」




ドキ!男2人の下半身祭り!ポロリもあるよ!!というか
ポロリしかないよという感じに(TロT)

タイトルを「ホイッスル」にしようかと思いましたが 、別方面の人に
雑踏で刺されそうなのでやめました。 ……どうもこの2人は
抜き差しをあまりおやりにならないようですね。
身体に負担がかかるしね。しかし先生の「誕生日と
クリスマス限定にしてはどうか」という(真剣な)発言に
シリウスさんは床を転げ回って笑ったようです。
ムーニーの名は伊達ではありませんね。
この家のエキセントリック発言王の座はまだまだ
先生が死守するようです。

上品なあの方とか品行方正なあの方が
読んでおられないことを祈りつつ……。
(上品な人と友人のみを弾けるアクセス制限って
ありませんかねところで!?)


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