As you like it


 キスをしようとしていたシリウスはふと思い出したことがあって、それを中断した。
 キスを待っていたリーマスは、いつまで経っても唇が降りてこないのを不審に思って目を開けた。
「以前から訊ねようと思っていたんだが」
 最近ではシリウスの表情を見るだけで、彼がこれから言い始める言葉がどんな内容のものであるかを大まかに言い当てることが出来るリーマスである。今のシリウスは申し分なくクールな表情に若干の笑み。しかしその唇が笑いを噛み殺す形になっているのをリーマスは見逃さなかった。ああ、エロティックな話をしようとしている、と彼は嘆息する。
 あまりに少年の頃に猥談をしていた時そのままの顔をシリウスがするので、リーマスは『やあシリウス。久し振り』と心の中で挨拶をした。
「お前は、嫌という程いじりまわされるのと、ひと思いに入れられるのはどちらが好きなんだ?」
 シリウスは時折こういう会話を好む。リーマスは気分次第でたじろいで見せたり、無視を決め込んだりする。
「どちらかと言えば前者かな」
 今回はにっこり笑って彼はこう言った。
「もちろん主語が私で、目的語が君なんだけれど」



 互いを支配下に置こうと唇を貪り合う。はじめは舌で、そして唇で歯で、相手の舌を刺激する。笑いとも喘ぎとも不明瞭な息を漏らし、飽きずに彼らはキスを繰り返した。リーマスにとって他人の口の中というのは、いつも奇妙な味がするように感じられる。しかしそれにももう慣れた。『人によっては、甘かったりもするのだろうか』と考えて、ふと彼は自分がシリウス以外の人間と、この手の行為に及んだ事がないと今更ながら気付く。『大変だ。責任を取ってもらわないと』そのジョークはあまりにも趣味が悪くて、残念ながら自粛せざるを得なかった。
 シリウスはリーマスの前髪を掻き上げ、髪のラインに沿って細かく口付けを落としていった。リーマスの首がゆっくりと反らされる。余裕の笑みでそこへもキスをしようとした彼だが、するりと相手の膝が上がって下半身を刺激したので息を詰めて顔を伏せた。リーマスは素知らぬ顔をしている。
 犬の姿になったときにちょうど耳と耳の間に当たる部分を撫で、パッドフットと耳元で囁くとシリウスは肩を縮める。彼は聴覚にも弱く触覚にも弱い。乙女のように繊細だと言うとシリウスは本気になって怒るので、日夜それに代わる比喩を探すリーマスである。猫のヒゲのように繊細であるとか、オジギ草のように繊細であるとか。
 耳を囓る。両腕を押さえつけて胸にキスを落とす。内腿に手を這わせ、微妙なラインまで進んで止める。
 互いの体に馴染み、もう自分の体と同じくらい沢山の事を知っているので、触れ方は巧妙で的確である。触れられた箇所へ、情欲は種子のように埋め込まれ、発芽し肌を破って生長する。静める方法は相手の身体を食い荒らす、それしかない。
 普段なら今頃はどちらかの身体から力が抜けてしまい目的語の役割が決定している頃合なのだが、その日はなかなか決着が付かなかった。
 相手の性格からして今日はいつもの倍ほどもなぶられるであろう事を予想するのは容易かったので。2人は「出来るならその役は彼に譲りたい」と考えていた。
 技術ではリーマスに分があり、熱意ではシリウスに分があった。
 甘えるように首を擦り付け、肩を噛む。額に額をつけて頬の輪郭を指でなぞる。唇が滑った。耳元に大きな音を立ててキスがされる。
 膝の緩んだところを見計らって彼自身に触れる。跳ね上がる体を肘で押さえ込んで唇を塞ぐ。
 押し殺したような声があがった。
 彼が至近距離で小さく笑うと、相手は諦めたように目を閉じて横を向いた。投げ出された腕を取ってそこへもキスをする。彼の好きな方法で、遊ぶ時間はたっぷりとあった。
 As you like it.




リバで真っ最中だよ全員集合。
やはり彼等は抜き差しをなさったりなさらなかったり。
するようです。では日頃どうしていらっしゃるかというと、
まあ彼等にもプライバシーがありますからなぁ(笑)。
よく分からん。

何がやりたかったんだっけ……あ、そうそう果敢にも
日記の宣言通り、普通にやおっちゃってみよう!
がテーマでした。でも「下人のゆくえはたれも知らない」
みたいなのが…いやそれは別番組だ。あの、後でイタコ呼んで
3人の話を統合したら受が誰だったか証言がバラバラ、
みたいなので、いいかな。みたいな。(照れを通り越して錯乱)
途中でくじけました。ハイさよなら!


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