4.慢性骨髄性白血病

1.慢性骨髄性白血病成因

 慢性骨髄性白血病(CML)は多能性造血幹細胞の段階で、何らかの原因で遺伝子に異状(bcr遺伝子とabl遺伝子の切断と再結合によってbcr−ablキメラ遺伝子ができる)が生じ、この異常な遺伝子から作られる蛋白によって造血細胞が異常に造血を起こして分化傾向を示した白血球が増加する病気です。

2.主な症状

 これまでは肝臓、脾臓が腫大することによって腹満をきたして受診することが多く見られましたが、最近は他の病気で医療機関を訪れたり、健康診断で白血球増加で発見されることが多くなっています。中には急性白血病と同じような発熱(感染症)、出血傾向、貧血など急性転化をきたして見つかる患者さんもいます。

CML  検査所見としてはフィラデルフィア(Ph1)染色体陽性・好中球アルカリフォスファターゼ(NAP)低下を示すが、ほとんど症状のない慢性期が3〜5年あって、移行期を経て急性転化期となります。急性転化をきたすと肝臓や脾臓が腫大して、急性白血病と同じような貧血、出血傾向、発熱(感染症)などをきたします。通常3〜6ヶ月で死の転帰をとります。 右図は慢性期の末梢血液像を示します。

3.治療および成績

 急性白血病の化学療法による治療成績向上には目覚しいものがあり、治癒率も増加してきました。
 しかし慢性骨髄性白血病には主にブスルファンによって白血球数を1−2万にコントロールする治療が行われてきました。これらによって症状の改善は見られましたが、生存期間の延長は長い間認められませんでした。

 最近インターフェロン、ハイドレアなどによって白血球数を4000前後に保つことによって、20−30%の患者さんでPh染色体の減少も見られて、生存期間の延長も見られています。インターフェロン治療は治癒する患者さんが出ることも期待されている反面、投与が長期間になるため、患者さんのQuality of life(生活の質)の低下、経済的な問題もあります。
 インターフェロンなどによってPh1染色体が減少、消失しない患者さんは急性転化をきたして不幸な転帰をきたすため、造血幹細胞移植も考えていく必要があります。