Z 忠を忘れる



                        財を先にし
                        礼を後にすれば
                        民貪る
                             (礼記−坊記)



前口上    再録(2011/9/11)

戦争に負けて軍隊解体しても
生き残り続けた日本の官僚制度。
通達という名の上意下達を武器に
縦割り行政を利用し既得権を行使し
その権限を必死に守ろうとする日本の官僚。
一般会計の何倍もの特別会計を恣意的にあやつり
天下りを認めなければ補助金もらえないよと
脅してちゃっかり高給取りになる日本の官僚。
そして責任を取らないをテーゼの日本の官僚。
その彼らのおこぼれ頂戴の国の政治家。
そのおこぼれを頂戴しようとする地方の官僚。
その又そのおこぼれを頂戴する大小の日本の企業。
その又々おこぼれを頂戴しようとする日本の民。
雁字搦めの日本の構造がそこに出来上がっている。

@

天下国家を論じ社会正義を唱っていても
己の利害損得だけは知っていて
結果として並の人以上に贅沢な生活をしている者が
人の税金で糧を得ている人たちの中にいる。
お役人はお国のために働く立派な人と
民から言われた時代もあったが
それもおかしいと思うことが多々起こってきた。
それでもその変化には気づこうともせず
今までがそうなっていたのだと
何の罪の意識もなく私事までも公のためと称して
公のものをちゃっかり私物化してしまう。
すべてのお役人がそうしているわけではないにしても
すべてのお役人がそうしていると思われる程に
お役人は見誤られるようになった。

A

国民が目を開かねばならないのは
テレビ写りだけはよい政治家よりは
テレビにも出ないで
省益だけを守る霞ヶ関の官僚達にだ。
結果責任を取らない居丈高な物言いは
かつての日本の帝国軍隊の遺伝子を
そっくり受け継いでいる。
霞ヶ関文学なる詭弁使って
国民に一時の夢を与えたことはあっただろうが
日本のためという美名を隠れ蓑に
結局はしたい放題である。
今やほとんど不可能に近い自浄作用は
ひたすら今の日本を食いつぶしている。
大半はまじめなんだというセリフも聞き飽きてきた。

B

わずか1,2年の勤務年数で
週1仕事をして
一生かかってもらうような退職金をもらって
渡り歩くのは天下りの高級官僚。
どう考えてもおかしいと思う。
再就職先の特殊法人で
武士の商法まがいの仕事をして
大損失しても高額の退職金をせしめて
責任取らずやめていくのは天下りの高級官僚。
どう考えてもおかしいと思う。
キャリアによるキャリアのためのキャリアの行政が
まかり通っている限り
新しい日本を作るのは
維新期の志士のような人たち以外にはない。

C

民主主義の国だと自画自賛したところで
官尊民卑の風潮なくならない限りは
信用できたものではない。
官が策定したことが民に損失を与えても
謝ったことはないし責任とった人もいない。
役人はピンからキリまで公僕の意識はないし
サービスはしてやっているの傲岸不遜の態度が
すべての役所と天下りを受け入れる組織に見られる。
民の当然の権利の行使も
民からのお伺いを立てたことにするし
官の意向に逆らう申し出なら
一応受け取ったことにして結局は握りつぶす。
民なら無料でやってくれている類のものまで
民に手続きさせた上に手数料まで取っているのである。

D

今まで見過ごされてきて
それで悪いことをしているのだとは
つゆも思わない犯罪行為が山とある。   
社保庁職員のネコババ事件。
政治家の報告漏れと虚偽の報告。
インターネット使っての職場からの世論操作。
組織のためと行う裏金作り。
公のものを簡単には私物化できなくなってきたのは
納税者の意識が高まってきたせい。
特権を与えられ罪の意識すらないお役人にすれば
何で私がこんな目にの思いだろうが
これら許す日本的習慣があったればこそ
民主主義国家には本当に珍しい
自民党の長期政権とやらが続いてきたのだろう。

E

百年安心の年金制度と
大見得切った政府の政策が発表された瞬間から
ほころびを見せたのは最早笑い話。
百年安心という言葉が何となく軽い。
この制度作ったのは
結局は厚労省の優秀な官僚だから
彼らの資質もそれほどではなかったのか。
その官僚を抱える組織がいい加減だったのか。
それとも
その組織を使いこなせぬ政治家が無能力だったのか。
いずれにしてもこの日本でも
他人の年金を食い物にする勝ち組と
自らの年金を目減りさせられる負け組の
二つのグループに分かれてきた。

F

格差社会が進行する中で
景気が悪いと羨ましくなってくるのが公務員。
週休2日はちゃんとあるし
笑い話になるような手当も幾つかついている。
すると公務員の言い訳も決まっていた。
「景気のいいときには低い給料でもがんばってきた。」
「国民への奉仕のためにスト権もなくがんばってきた。」
民間がいい目をしてきた時代のことは頬被りし
民間が悪い目にあっているからといって
公務員に羨望の目を向けるのは
筋違いもいいところだと言いたげだ。
確かに公務員には非難されるべき言われはない。
公務員は民間で選ばれた政治家達の作った
法律や条令によって糧を得ているだけなのである。

G

社会に尽くし貢献してこそ
民からは尊敬される日本のエリート達。
戦後60年以上もたてば
システムにあぐらをかくだけの無駄飯食いになる。
社会の安寧阻害する害虫にも相当するとは言い過ぎか。
彼らとて馬鹿ではあるまいし
難しいペーパーテストクリアーしてきただけに
頭がよいと思いたいのだが
地位高く金稼ぎやすくなったために
社会見る目が麻痺してしまったのだろう。
そういう彼らの資質にも問題あろうが
彼らのおこぼれを頂戴しようとして
そういう彼らを許してしまう民も
同じアナの狢と言うは言い過ぎか。

H

かつての日本帝国軍隊は
一時は関東軍使って日本臣民に夢を与えたが
第2次世界大戦末期には
大日本帝国を滅茶苦茶にしてしまった。
今やそれと同じなのが霞が関の官僚組織。
自己顕示欲いっぱいの政治家使い
天下りと特別会計を必要悪とし
よくぞここまで日本を経済大国にしてくれた。
だが時代が変わり
その必要悪は癌のような存在になり
日本を滅茶苦茶にしようとしている。
公金を私物化する格好の場となっているのに
まだ日本のためになっていると思い込んでいる。
そのおこぼれに与る日本国民も日本国民だ。

I

いわゆるたたき上げの人が
苦労して到達できる地位なんて
たかがしれている。
それよりもペーパーテストで得た地位の方が
遙かにその上を行っているのを見るにつけ
社会という人間組織のまか不思議さを感じる。
そのまか不思議さと正当性を得意げに話すのは
そのペーパーテストを難なくこなしてきた輩である。
高級官僚をはじめとして
いわゆる試験成績のよかった人たちは
社会のトップに君臨しながら
社会が変わり始めているのに
気づこうともせずに
保身のための小理屈ばかりこね回している。

J

高級官僚の天下り批判が
やっと現実のものとなってきている。
当の本人はまだまだそんなことできるかと
政治家とつるんでせせら笑っているように見えるが
実際にこの問題には
政治的支配者の特権意識と
政治的被支配者の依存意識とが
微妙かつ心地よげに絡み合っている。
たかをくくっている悪徳高級官僚は
天下ったことをちっとも悪いとは思っていないし
権威に弱い下々は
そのおこぼれを頂戴することで
人より上の生活の糧を得ている。
天下り批判はまさにこれからである。

K

「脱藩官僚」なるものが出現してきたことで
ふと明治維新の大転換期に
「藩」や「藩士」に見切りを付けた
多くの「脱藩藩士」のことを思い出した。
今回の「脱藩官僚」がかつての「脱藩藩士」と
同じかどうかはいずれ歴史が決めるだろうが
「過去官僚」になって
国の寄生虫になるよりは
「脱藩官僚」となって
国を憂える立場に立って貰いたいものだ。
さらに頭さびた上司によって
干された腹いせをしているだけだと
「現役官僚」からせせら笑われないよう頑張って
脱藩官僚の名を残して貰いたいものだ。

L

保護することは管理することとはよく言ったもの。
学校は生徒のためにある。
病院は患者のためにある。
役所は国民のためにある。
というのは建前で
学校は先生のため
病院は医者のため
役所は役人のためにあると
つい錯覚してしまいそうだ。
ひとつの目的のために組織が作られたのに
その組織の維持のために働く人間が
いつしか自分の都合のよいように動きだし
目的を忘れてしまうのはよくあることだ。
その度に生徒や患者や国民が犠牲になる。

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