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日本AS友の会定期総会 2003年10月11日(土)


福祉制度を学ぶ

ソーシャルワーカー(社会福祉士) 磐井静江



  1. 保健・医療・福祉の動向
    1) 病院の機能別化の実態(資料1)
    2) 180日を超えた入院患者(特定療養費)の自己負担の導入(資料1)
      介護保険制度を抜きにケアは考えられない状況に(資料3)


  2. AS患者のための福祉施策
    1) 医療保険の自己負担
      (1) 高額療養費(資料1)
      (2) 老人医療時給者(70歳以上 所得に応じ自己負担1割・2割
          一定金額以上は還付される)
    2) 身体障害者福祉サービス (医療費助成・更生医療−資料2)
        基本サービスと所得制限

    3) 介護保険サービス   ( 65歳以上 )

  3. 障害年金の受給方法(資料1)
    1) 受給要件は発病年月日が問題
    2) 診断書の書き方の注意
      (1) 初診日が必ず年金加入期間中か20歳以下であること
      (2) 65歳までに障害の状態にあること
      (3) 診断書用紙は「肢体不自由」の用紙
      (4) 労働の制限について必ず記入
      (5) 日常生活の不自由さを主治医に伝えるよう心がけること
      (6) 検査の異常値は必ず記載してもらう。
      (7) 他の障害が有るときは、初診日が同じであることが重要
      (8) 受給要件は、20歳から3分の2以上加入していること
      (9) 平成18年4月1日前に初診の人は、初診日より前々月から
         1年以上の加入期間があれば申請要件になる。

  4. 生活保護


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(資料1)

健康保険給付・障害年金

1) 医療費医療機関支払い自己負担金額について

 (1) 一般 3割負担

 外来診察はその月4回目から診療費が安くなります。病院か(200床以上か どうか)診療所(開業医)かによって金額が違います。

 2 薬の処方日数の制限が原則としてありません。


区分 医療費(月額) 自己負担限度額
上位所得世帯 466,000円超 139,800円+(医療費−466,000円)×1%
466,000円以下 139,800円
一般世帯 241,000円超 72,300円+(医療費−241,000円)×1%
241,000以下 72,300円
市民税非課税世帯 35,400円(1%の加算なし)

 3 長期入院の方は入院費の自己負担が必要になります。
   入院の日から、180日を過ぎると入院基本料(医療機関によって異なります) の15%(1ヶ月4万円くらい)は自己負担となります。

 (2) 老人保健受給の方(70歳以上と65歳以上の障害をお持ちの方)

  外来と入院で金額が違います。

対象者 負担割合 外来 入院
高所得者 2割 40,200円 72,300円+超過分の1%
一般 1割 12,000円 40,200円
低所得者 8,000円 24,600円
15,000円(福祉年金受給者)


2) 高額療養費制度
<自己負担限度額(月額)>
 上位所得世帯:(1) 基礎控除後の総所得金額が670万円を超える世帯
           (2) 所得の確認ができない方がいる世帯
病院・診療所で支払った医療費は、申請により超えた分が高額医療費として戻って くる制度です。また、過去一年間に4回以上限度額を超えた場合には、4回目から 限度額が下がります。

 対象となる医療費

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保険適用分の医療費です。ただし、入院時の食事代、差額ベッド代、保険外負担は 含まれません。
 計算方法
  1. 1ヶ月分の領収書を医療機関ごと、入院分と通院分に分けましょう。
    *通院分については、総合病院の場合は各診療科ごと、歯科は別にして分けます。 また、通院の薬剤の自己負担分、院外処方による調剤薬局への支払いも含みます。
  2. 分けられたものの各合計金額から、限度額を差し引いた残りが高額療養費として申請の対象となります
同じ月に1件あたり21,000円以上の保健適用の医療費が複数ある場合には、 21,000円以上の医療費をすべて合計した金額から限度額を差し引いた残りの 額を申請することになります。
 申請窓口
非課税世帯の方は、「市民税非課税証明書」も持参しましょう。
  • 政府管掌健康保険 → 社会保険事務局
  • 組合健康保険    → 各健康保険組合(もしくは勤務先の担当係)
  • 国民健康保険    → 市町村役場(国民健康保険担当係)


3) 病院の機能分化

 (1) 特定機能病院
 医療費請求基準が異なります。

入院基本料による違い
(1) 一般病院(28日まで)      看護基準    看護資格者
入院基本料1      12,160円    2:1         7割
入院基本料2      11,130円    2.5:1        7割
入院基本料1       9,430円     3:1         4割
入院基本料1       8,380円     3.5:1        4割
入院基本料1       7,880円     4:1         4割

以上に加算方式による基本料がある。
14日以内          4,000円    急性期病院加算(14日以内) 1,550円
15日以上30日以内    2,070円
180日以上          500円減
夜勤勤務等看護加算    480円
重症者等環境特別加算  3,000円
救急医療加算(1日のみ) 6,000円        合計一日  18,710円

          月 約52万円+検査料・投薬量・注射料・リハビリ料・手術・処置料

(2) 地域医療支援病院
患者紹介率60%で2年間の間に80%を達成し、維持している200床以上の病院で 承認された病院
紹介患者加算(一般病院2,500円→4,000円になる。)
入院初日のみ  9,000円加算

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開業医かせ開放型病床を利用できる。開業医が毎日主治医を勤めた場合、 収入は開業医と折半になる。

(3) 特定機能病院
入院基本料1      12,160円
結核病棟        11,020円
精神病棟        10,470円      急性期病棟   16,500円
特殊疾患療養病棟  20,000円

(4) 包括医療
回復期リハビリテーション   17,000円  3:1  4割   6:1
PT・OT 一日につき一算定  6ヶ月まで   6,600円
                6ヶ月以上   4,800円   OT  5,700円

                      月 約51万円+198,000円+

緩和ケア病棟     一日    38,000円         月 114万円

療養型病床群             看護基準   看護資格者  補助看
入院基本料1     12,310円      5:1       2割      4:1
入院基本料2     11,600円      5:1       2割      5:1
入院基本料3     11,210円      5:1       2割      6:1
入院基本料4     12,290円      6:1       2割      3:1
入院基本料5     11,540円      6:1       2割      4:1
入院基本料6     11,010円      6:1       2割      5:1
入院基本料7     10,660円      6:1       2割      6:1
入院基本料に30日まで 3,120円加算・18日超37点減

                    1ヶ月目約45万円 6ヶ月まで39万円

*包括医療は、検査・投薬・注射・処置の費用にも含まれる。
*含まれない注射薬は、エリスロボエチン(腎性貧血のある腹膜灌流実施者など)


4) 介護保険

在宅
要支援        61,500円
要介護1       165,800円
要介護2       194,800円
要介護3       267,500円
要介護4       306,000円
要介護5       358,300円

施設サービス(介護保険内基準 食事その他別途)
        介護老人福祉施設    介護老人保健施設   介護療養型医療施設
       (特別養護老人ホーム)
 要介護1     8,342円           9,280円           11,930円
 要介護2     8,813円           9,800円           12,390円


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 要介護3     9,813円           10,320円           12,850円
 要介護4     9,746円           10,840円           13,310円
 要介護5     10,207円           11,360円           13,770円
        月 約30万円      月 約32万円       月 約39万円


医療保険と介護保険の関係


介護保険と医療保険の併用可能な例
  1. 往診可能な医師は、医療保険と介護保険の両方を管理、指導して重複して 行うことができます。
  2. 訪問看護は、医療保険は週3回を限度に医師の指示書に基づいて利用可能 であり、(末期がんなどは制限なし。一時的なものは14日まで連続して利用可能 である。時間外などの場合は介護保険には利用基準が示されているが医療保険には 規定がない。)介護保険には制限はありません。特別な場合を除き、介護保険 対象者は医療保険が使えませんので障害者手帳で他の福祉サービスが受けられる 方は介護保険申請を十分検討してください。

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  3. 介護保険の通所リハビリテーション利用者が、医療保険を利用して医療機関 に外来でリハビリのための通院をすることは可能である。ただし、発病または 初診日から6ヶ月を経過している場合、収入が減る仕組みになっていることも あり、医療としてのリハビリが必要かが適応基準となります。

    5) 障害年金
     障害基礎年金は、傷病により初めて医師または歯科医師の診療を受けた日 (初診日)において、次の(1)(2)のいずれかに該当した人が、その初診日から 起算して1年6ヶ月を経過した日(障害認定日)に障害等級の1級または 2級に該当したとき、または障害認定日に障害等級の1級及び2級に該当 しなかった人が、65歳に達する日の前日までに障害等級に該当し、申請を 行ったときに、その障害の程度に応じて支給されます。

    (1) 国民年金の被保険者であること。

    (2) 国民年金の被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、 60歳未満であること。

     ただし、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに被保険者 期間があるときは、その被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除 期間とを合算した期間が被保険者期間の3分の2未満であるときは支給され ません。

     なお平成18年4月1日前の初診日のある障害(初診日において65歳未満の人 に限ります)については、3分の2以上の納付要件を満たさなくても、 初診日の前日において初診日の属する月の前々月までの1年間のうちに 保険料の未納入期間がない場合には、障害基礎年金が支給されます。

    【1級】 996,800円+子の加算  日常生活に常に介助を必要とする状態
      両上肢の機能に著しい障害を有するもの
      両下肢の機能に著しい障害を有するもの

    【2級】 797,000円+子の加算  日常生活に介護を必要とする状態
      上肢の機能に著しい障害を有するもの
      下肢の機能に著しい障害を有するもの

    【3級】 厚生年金加入者のみ 労働に制限を加わる程度の障害
      最低保障額  597,800円

    20歳前に初診の方
    所得額が398万4千円(2人世帯)を超える場合には年金額の2分の1相当額 に限り支給停止とし、500万1千円を超える場合には全額支給停止とする 二段階制がとられています。

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    身体障害者手帳手帳の申請方法                          (資料2)

    • 身体障害者手帳交付申請書(申請窓口で記入できます)
    • 医師の意見書(診断書)
      *診断書は「指定医」の資格を持った医師に記入してもらいましょう。
    • 顔写真1枚(たて 4cm×よこ 3cm、一年以内のもの、スナップ写真の切り抜きでも大丈夫です)
    • 印鑑

    重度障害者医療費助成制度

     1・2級の方に健康保険給付範囲内の医療費の自己負担を助成する制度(食事代を除く)

    *東京都の場合 心身障害者医療費助成制度という。自己負担額は、老人医療費助成制度 と同じおおむね1割負担
    *所得制限
      東京都参考 国もほぼ同じ
             扶養家族 0人の本人所得    3,604,000円
             扶養家族 3人の本人所得    4,744,000円


    更生医療制度

     18歳以上の身体障害者手帳を所持する方々が、その障害の程度を軽くしたり 取り除いたり、または障害の進行を防ぐことが可能な場合、その医療費を助成 する制度。原則、事前申請です。

     給付内容 診察・薬剤、治療材料(治療用装具)の支給(通院治療 における薬の院外処方は、指定薬局のみ可能)・医学的処置・手術および その他の治療、ならびに施術(マッサージ療法)・居宅における療養上の管理 およびその療養にともなう世話、その他の看護(訪問看護・病院、または 診療所への入院、およびその療養にともなう世話、その他の看護(入院時食事 療養費標準負担額を含む)・移送

    税金控除

控除額名   所得税 住民税
障害者控除 身体障害者手帳 3〜6級 27万円 26万円
特別障害者控除 身体障害者手帳 1〜2級 40万円 28万円


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JRの割引

  対象となる切符の種類 割引率
第1種、第2種の身体障害者本人が単独で乗車する場合 普通乗車券(片道101キロ以上利用する場合のみ) 5割引
第1種身体障害者が介護者と共に乗車 普通乗車券、回数券、急行券、定期券(注) 5割引
(本人と介護者1名)


航空運賃
下肢障害4級以上の人
 国内線定期便の運賃が25%引き。
 第1種の身体障害者→本人と介護者1名が対象
 第2種の身体障害者→本人のみ

手当て
特別障害者手当て(国) 1・2級の重複障害者 手当月額は26,620円です。


    *更生医療所得による自己負担金額一覧
    世帯の階層区分 徴収基準 加算基準
A   被保護世帯 0円 0円
B   当該年度の住民税非課税世帯 0円 0円
C1 前年の所得税非税世帯 住民税均等割のみ課税世帯 4,500円 450円
C2 住民税所得割課税世帯 5,800円 580円
D1 前年の所得税の年額が右の額の世帯 4800円以下 6,900円 690円
D2 4,801円〜9,600円 7,600円 760円
D3 9,601円〜16,800円 8,500円 850円
D4 16,801円〜24,000円 9,400円 940円
D5 24,001円〜32,400円 11,000円 1,100円
D6 32,401円〜42,000円 12,500円 1,250円
D7 42,001円〜92,400円 16,200円 1,620円
D8 92,401円〜120,000円 18,700円 1,870円
D9 120,001円〜156,000円 23,100円 2,310円
D10 156,001円〜198,000円 27,500円 2,750円
D11 198,001円〜287,500円 35,700円 3,570円
D12 287,501円〜397,000円 44,000円 4,400円
D13 397,001円〜929,400円 52,300円 5,230円
D14 929,401円〜1,500,000円 80,700円 8,070円
D15 1,500,001円〜1,650,000円 85,000円 8,500円
D16 1,650,001円〜2,260,000円 102,900円 10,290円
D17 2,260,001円〜3,000,000円 122,500円 12,250円
D18 3,000,001円〜3,960,000円 122,500円 12,250円
D19 3,960,001円以上 全額  


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身体障害者手帳等級表

  上肢機能 下肢 体幹
1級
  1. 両上肢の機能を全廃したもの
  2. 両上肢を手関節以上で欠くもの
  1. 両下肢の機能を全廃したもの
  2. 両下肢を大腿の2分の1以上で欠くもの
体幹の機能障害により座っていることができないもの
2級
  1. 両上肢の機能の著しい障害
  2. 両上肢をすべての指を欠くもの
  3. 1上肢を上腕の2分の1以上で欠くもの
  4. 1上肢の機能を全廃したもの
  1. 両下肢の機能の著しい障害
  2. 両下肢を下腿の2分の1以上で欠くもの
  1. 体幹の機能障害により座位又は起立位を保つことが困難なもの
  2. 体幹の機能障害により立ち上がることが困難なもの
3級
  1. 両上肢のおや指及びひとさし指を欠くもの
  2. 両上肢のおや指及びひとさし指の機能を全廃したもの
  3. 1上肢の機能の著しい障害
  4. 1上肢のすべての指を欠くもの
  5. 1上肢のすべての指の機能を全廃したもの
  1. 両下肢をショパー関節以上で欠くもの
  2. 1下肢を大腿の2分の1以上で欠くもの
  3. 1下肢の機能を全廃したもの
体幹の機能障害により歩行が困難なもの
4級
  1. 両上肢のおや指を欠くもの
  2. 両上肢のおや指の機能を全廃したもの
  3. 1上肢の肩関節、肘関節又は手関節のうち、いずれか1関節の機能を 全廃したもの
  4. 1上肢のおや指及びひとさし指の機能を全廃したもの
  5. おや指又はひとさし指を含めて1上肢の3指を欠くもの
  6. おや指又はひとさし指を含めて1上肢の3指の機能を全廃したもの
  7. おや指又はひとさし指を含めて1上肢の4指の機能の著しい障害
  1. 両下肢のすべての指を欠くもの
  2. 両下肢のすべての指の機能を全廃したもの
  3. 1下肢を下腿の2分の1以上で欠くもの
  4. 1下肢の機能の著しい障害
  5. 1下肢の股関節又は膝関節の機能を全廃したもの
  6. 1下肢が健側に比して10センチメートル以上又は健側の長さの 10分の1以上短いもの
 
5級
  1. 両上肢のおや指の機能の著しい障害
  2. 1上肢の肩関節、肘関節又は手関節のうち、いずれか1関節の機能の 著しい障害
  3. 1上肢のおや指を欠くもの
  4. 1上肢のおや指の機能を全廃したもの
  5. 1上肢のおや指又はひとさし指の機能の著しい障害
  6. おや指又はひとさし指を含めて1上肢の3指の機能の著しい障害
  1. 1下肢の股関節又は膝関節の機能の著しい障害
  2. 1下肢の足関節の機能を全廃したもの
  3. 1下肢が健側に比して5センチメートル以上又は健側の長さの 15分の1以上短いもの
体幹の機能の著しい障害
6級
  1. 1上肢のおや指の機能の著しい障害
  2. ひとさし指を含めて1上肢の2指を欠くもの
  3. ひとさし指を含めて1上肢の2指の機能を全廃したもの
  1. 1下肢をリスフラン関節以上で欠くもの
  2. 1下肢の足関節の機能の著しい障害
 
7級
  1. 1上肢の機能の軽度の障害
  2. 1上肢の肩関節、肘関節又は手関節のうち、いずれか1関節の機能の 軽度の障害
  3. 1上肢の手指の機能の軽度の障害
  4. ひとさし指を含めて1上肢の2指の機能の著しい障害
  5. 1上肢のなか指、くすり指及び小指を欠くもの
  6. 1上肢のなか指、くすり指及び小指の機能を全廃したもの
  1. 両上肢のすべての指の機能の著しい障害
  2. 1下肢の機能の軽度の障害
  3. 1下肢の股関節、膝関節又は足関節のうち、いずれか1関節の機能の軽度の障害
  4. 1下肢のすべての指を欠くもの
  5. 1下肢のすべての指の機能を全廃したもの
  6. 1下肢が健側に比して3センチメートル以上又は健側の長さの 20分の1以上短いもの
 


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